家の中でゴキブリを1匹見かけたら100匹はいる……、と言われています。本当でしょうか? それとも都市伝説? 100匹ものゴキブリが見えないところにいると考えただけで、怖くて眠れなくなりそうです。バイ菌だらけの“害虫”が増え続けたら困りますよね。今回は、ゴキブリの効果的な退治の仕方をアース製薬の有吉立さんに教えていただきます。
◎第2回:【Gの生態#2】ゴキブリの食生活「食べたことのないものを食べたがる」「紙をかじっていたことも」
フムフムな発見8:クロゴキブリのメスは、生涯で約440個以上の卵を産む
「ゴキブリのメスは1回の産卵で、卵鞘(らんしょう)を1つ生みます。卵鞘というのは卵が詰まった殻のことを言い、クロゴキブリの卵鞘には22~26個の卵が入っています。一生のうちに約15~20個の卵鞘を生むので、計算上では1匹のメスから440~520匹の子供が生まれます」
──440匹……、考えただけで気持ち悪くなりそうです。
「すべてが生き残るわけではありませんが、ものすごい繁殖力ですよね」
──オスは生涯に1度しか交尾をしないと聞いたことがあるのですが……?
「いえ、オスは1回交尾したあとも、別のメスとも交尾します。カマキリやクモなどと違って、1回の交尾だけで死ぬというようなこともありません。
ゴキブリの交尾は少し変わっていて、オスが羽を上げて、その下に甘露(かんろ)という甘い分泌物を出します。メスに甘露をなめさせながら、その隙を狙って交尾をするんですよ。
──ずる賢いというか、下心が見え見えというか。高級ブランド品をプレゼントして気を引くようなものでしょうか。なんだか人間みたいですね。
「でも、甘露だけなめられて逃げられるケースもあるんですよ。メスではなく、オスに甘露をなめられるオスを見たこともあります」
──ゴキブリのオスもいろいろと大変なんだなあ。
「メスが好む甘い分泌物を出せるかどうかが、モテるオスの条件なのかもしれませんね。甘露の成分はトレハロースなどの糖類です。甘露だけに限らず、ゴキブリは甘いものが大好きなので、メスだけでなくオスも寄ってくるみたいです」
フムフムな発見9:ゴキブリには縄張り争いがある?
──種類の違うゴキブリが縄張り争いでケンカすることはないんですか?
「おそらく、すみ分けができているのだと思います。チャバネゴキブリは室温が20度以上の場所でないと生きていけないのと、餌が豊富という理由から主に飲食店にすみ着く傾向があります。
一般家庭に多いクロゴキブリは、外で越冬します。お互いに対立を避けているのかもしれませんが、すみ着く場所をめぐって“チャバネゴキブリVSクロゴキブリ”みたいな構図になることはないようです」
フムフムな発見10:退治の基本は待ち伏せ!
──では、気になるゴキブリ退治のコツについてお聞きします。ゴキブリ退治といえばスプレー式駆除剤ですが、どんな成分が使われていますか?
「当社の『ゴキジェットプロ』にはピレスロイド系の有効成分が入っています。ピレスロイドというのは、除虫菊や蚊取り線香などにも含まれていて、虫の神経に入って神経を麻痺(まひ)させる成分の1つです。ゴキブリには毒性が強く、即効性もあるので、噴霧されたゴキブリはけいれんを起こして、最終的にひっくり返ります」
──『ゴキジェットプロ』などスプレー式駆除剤を効果的に使う方法を教えてください。
「ゴキブリが後ずさりできない習性を利用するといいと思います。後ろから狙うと、ゴキブリは前に逃げていきます。前を狙うと、薬剤に当たって、ひっくり返ります」
──新聞紙やスリッパなどでたたくときも、前からですか?
「基本は前からです。ゴキブリはお尻から生えている2本の尾毛(びもう)でも、細かい空気の動きを察知します。後ろからたたこうとしても、新聞紙を振り上げたときの空気の動きを察知して、前へ逃げます」
──後ろからそっと近づいてもダメですか?
「進行方向で待ち伏せするのがベストです」
ゴキブリ退治のコツ、つかんでいただけましたか? 基本は待ち伏せです! ゴキブリにいつも逃げられてしまうのは、空気の動きを察知されていたからなんですね。ゴキブリを見つけたとき、近くに虫ケア用品がない場合は、ゴキブリの進行方向から狙いましょう。次回は、“ゴキブリの全てが害虫ではない”という意外なお話です。
◎第4回:【Gの生態#4】ゴキブリ界で一番ホットな話題「日本ではGの種類が増えている!」(8月28日18時公開予定)
(取材・文/久保弘毅)