三浦友和さんと百恵さんの次男として生まれ、現在37歳になる俳優の三浦貴大さん。インタビュー前編では、映画『Winny』で東出昌大さんとの共演で感じたことや、デビュー当時に目指した俳優像をお伺いしました。
実は三浦さん、大の甘党で、ご自身で粒あんを作っていたこともあるという「意外なイチメン」も! 後編ではそんな三浦さんに、年齢を重ねてきたことで変化したお父様への思いや、大好きなあんこへの思いを熱くお話ししていただきました!
俳優としての父の偉大さがよりわかってきた
――三浦友和さんは俳優としても大先輩でいらっしゃいますが、ご自身が年齢を重ねてきたことでお父様に対する思いに変化はありましたか?
自分がこの仕事を長く続ければ続けるほど、父がどれだけすごいことをやっているのかがわかるようになりました。自分と同年代の俳優さんの芝居を見て「すごい芝居をするな」とか「役作り大変だったろうな」と思うことが今でもあるんですけど、父親の芝居を見ていると「どういう気持ちで演じるとこうなるんだ?」と、技術量もそこにたどり着く道筋もわからないんですよね。
なんか、草野球チームの選手がメジャーリーガーの試合を見て「どうやったらそんな球打てるの?」みたいな(笑)。自分も俳優歴が長くなったことで、より役者としての父の偉大さがわかってきました。
――同じ「俳優」としてではなく、息子としてはいかがでしょう。
父が今の自分の年齢のときに僕が生まれているのですが、「よく子育てしながら芝居ができるな!」って思うんですよ。これはお子さんがいらっしゃるほかの役者の方にも言えることなんですけど、僕は1人でもいっぱいいっぱいなのに、子育てをしながら役者の仕事をするって本当にすごいなと思います。
スーパーの特売コーナーで見つけた小豆との出会い
――ここからは、俳優さんたちの「実はこんなものが好きです」といったことやものを語っていただく「イケメンたちの意外なイチメン」コーナーに移りたいと思います。以前、別の媒体で三浦さんにインタビューさせていただいたときに「昔から甘い物が大好きで、4時間かけて粒あんを作ったこともある」というお話が印象に残っています。今日はぜひ、そこを深掘りしたいなと思っているのですが……。
よくそんな話を覚えていてくださいましたね(笑)。今回いただいた企画書に「あんこのお話を聞かせてください」と書いてあったので、一応心構えはしてきました。
――ありがとうございます! では「自分であんこを作ろう」と思ったいきさつから教えてください。
大学生のときから実家を出て1人暮らしをしているんですけど、入学したのが体育大学だったんです。もともと甘いものが好きだったのですが、学生だったのでお店のケーキを買うようなお金の余裕があまりなかったんですよね。当時はライフセービングもやっていたので、毎日海まで行く交通費や、機材も高いものが多くて、贅沢(ぜいたく)できるような余裕がなかったんです。
そんなときにいつも行っているスーパーに寄ったら、特売コーナーに生の小豆が売っていたんですよ。それを見て「これを煮ればあんこになるのか!」と思い、自分で粒あんのレシピを調べて作ってみたんです。
――初めて作ったときから、ちゃんと「粒あん」ができたのですか?
意外と作れましたね。その時は200グラムの小豆で作ったのですが、思っていたよりも大量に粒あんができたことも驚いたし「あんなに小さかった豆が、ちゃんとあんこになった~!」と嬉しくなって、そこから月1ぐらいでよく作っていました。
やっぱりスポーツをやっていると糖分を欲するんですよ。アスリートの方や登山をする方も、羊羹(ようかん)などのあんこを使ったお菓子を携帯している人が多いと聞きます。材料費もあまりかからならいし、糖分も補給できて腹にもたまる。「あんこって最強なんじゃないか」と思っていた時期もありました。
――その当時、あんこは単体で召し上がっていたのですか?
そのままスプーンでガッとすくって、まるでご飯を食べるかのようにモリモリあんこを食べていました(笑)。一人暮らしを始めたときに僕がまずやりたかったのは、生クリームをボウルいっぱいに作ったり、チューブに入った練乳をそのまま食べたりすることだったんです。
――お話を伺っていると、あんこを使ったおはぎや大福などよりも、あんこそのものを召し上がるのがお好きなのかな? と思ったのですが。
もちろん、あんこを使った和菓子や、生クリームたっぷりのケーキ、スイーツはなんでも好きですよ。でも「あんこ単体でもいい」っていう感じです。
自分好みの味に出来るのが、手作りのよさ
――自分であんこを炊こうとすると、最初に小豆を水からゆでて、ゆで汁をこぼさないといけないし、時間もかかって結構大変ですよね。あんこ好きでも自分で一から作ろうとするところが、やはり一歩先の「あんこ愛」をお持ちだなと感じました。
僕があんこを作るようになったのは「試してみたら意外と作りやすかった」というところから始まったんですけど、やっぱり手作りだと自分好みの味にできるじゃないですか。それがすごく楽しかったんですよね。
――甘さはどのくらいがお好みですか?
たくさん食べるので、甘さはやや控えめなのがいいですね。市販の缶のものよりは甘くないです。あんこを炊くときに塩を少し入れるんですけど、ちょっと多めに入れたほうが好みの味になります。
――少し塩気が効いたあんこっておいしいですよね~。ちなみに、あんこの粘りは「ねっとり派」と「さらっと派」どちらですか?
僕はねっとり派です。そのほうが食べたときの満足感がありますし。
「もはやあんこは、他人じゃない」
――三浦さんの公式Instagramでも、スイーツの写真が投稿されているのをたまにお見かけしますが、最近食べておいしかったものを教えてください。
少し前に仕事で北海道に行っていたのですが、そこで食べたモンブランはおいしかったですね。インスタでは「モンブラン大好きおじさん」という一言を添えてアップしていますので、よろしければ見てみてください。「北海道でパフェを食う男」と書いて投稿したパフェもおいしかったなぁ。やっぱりあちらは乳製品がおいしいんですよね。あとは最近、某お菓子メーカーのロングセラー商品に改めて感動しました。
――もっと甘味トークをお聞きしたいのですが、最後に三浦さんにとって「あんこ」はどんな存在ですか?
僕にとってあんこは身体の一部。もはや他人ではないですね。ほぼ自分みたいなところがあるなと思っています。
(取材・文/根津香菜子、編集/福アニー、撮影/有村蓮)
【Profile】
●三浦貴大(みうら・たかひろ)
1985年11月10日生まれ、東京都出身。2010年、映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』で俳優デビューし、同作で第34回日本アカデミー賞新人俳優賞等を受賞。近年では『栞』『ゴーストマスター』『初恋』『流浪の⽉』『キングダム2 遥かなる⼤地へ』など話題作に出演。