いや~耐えました。安易に「ブラボー!」と言ってテレビに映ってやろうという姑息(こそく)な手段を使いそうになる寸前、耐えました。無事に1回も言わず、ブームは過ぎたと言っていいでしょう。流行語ってやっぱり注目されたくて、あるいは「スタッフさん、この言葉が欲しいんでしょ」ってな感じで、つい言っちゃうんだよね。スターさんがあえて言うのと僕みたいなのが言うのは違うからね。こういうのって、取り合いよ。番組収録で食べ物が出てきたときの「わ~絶対おいしいやつじゃん!」と一緒で、そこにいるタレントたちでの取り合い。誰が先に言うか。そんな中で、誰でも思い浮かぶやつを言わずに耐えて、違うコメントをする。その苦行から逃げずに耐えたつぶやきです。
税抜表示だと、瞬時に消費税をプラスして計算しちゃうよね〜
確定申告の時期なんだよね。正直めんどくさいと思う人多いよね。税理士さんにも頼むけど、わざわざお金を払って、さらにお金を払うって考えると億劫(おっくう)だよね。関係ない人にはどうでもいい話か。じゃあ、やめよう。
こういうお金にまつわる話はどう? よく本体価格が9800円のものを「1万円以下」って売り込むし、買う側も「1万円以下で売ってるよ」なんて言ってくる人いるけど、僕は消費税込みで考えちゃうタイプなんだよね。だって、払うお金は1万円以下じゃないじゃん。10780円じゃん。たぶん1万円札1枚と千円札1枚出すじゃん。お釣りの小銭が帰ってきたとしても、感覚的には11000円払った感じになるから、そのショックを軽減させるためか、脳がすぐ消費税の込みの計算をしてしまう。逆になんで消費税込みの計算をしないんだろうと思う。
「税金は税金であって、モノの値段とは別じゃん」って言う人いるけど、内訳はどうであれ、実際に自分が出すお金は消費税込みの額なわけで、本体価格が9800円のものでも10000円以上のものを買ったという捉え方をするね。あれ? 僕だけ? 買い物もするときも消費税を足しながら、ちょっと高めの合計金額設定でレジに臨むけどね。じゃないと、お金が足りなかったら大変だから。みんなカード払いで、あんまり考えなくなったのかな? でもバーゲンで40%引きの服を買っても、人に言うときは、割引前の値段を言うよね。そこは実際に払った金額より高めの設定でね。ま~いいんだけど。
「直接税」ってのは、所得税とか住民税のことで、消費税は「間接税」なんだよね。自分がレジで直接払っているから「直接税」かと思いきや、それを店がまとめて納税するわけで、間接的に払っているってことなんだね。僕も大人になってから知ったし、今でも、一瞬「ん?」ってなる。「円高円安」と同じ現象かな。一瞬「ん?」ってなるでしょ。「1ドル80円」って言われると、円安? いやいや逆だ! 円高だ! みたいなね。いまだにそう。
税金っていろいろあって、子どものころ、家族で遊びながら花札をよくやっていたんだけど、花札って税金かかってたんだよね。トランプとか、かるたにも税金がかかってた。テレビゲームが出てきて買う人が減って、その制度もなくなった。
あと昔、温泉ロケに行ったときに聞いたんだけど、日本は温泉に入るのに「入湯税」って税金が150円かかっているんだよね。だから入浴するだけでも800円とかになって、ちょっと高いよね。しかも「馬油」って書いてある、なんか怖いシャンプーあるよね。
「有名税」って、タレントに対して周囲が言うのは違うよね〜
それと少子化問題でたまに出る「独身税」ね。今はないけど、独身ってだけで税金取られちゃう時代が来るかも。税金払うのが嫌で、好き同士でない男女による書類上での偽装結婚が増えるのかな。それって脱税なのかな。
じゃあさ、ついでに言っちゃうけど、顔が男前の人にも税金かけてほしいよね。ブサイクな人よりモテモテの人生だもんね。「男前税」。でも「男前税」を払っているってだけで、なんか男前だな。よけいモテちゃうな、ダメダメ。少子化対策のための「独身税」だから、「男前税」は、今までさんざん女性にモテて遊んできたんだから、結婚して子育てを4人以上しないと税金が取られることにすればいいんだ。奥さんが大変か~。いつから払い始めるかもわからないしね。70歳になって子どもが3人しかいなくても「わしゃーまだまだ元気じゃ」って、可能性ある感じ出されたら、いつになっても税金取れないしね。
「男前税」の実現は難しいけど、まかり通っている架空の税ってあるよね。「有名税」。この税率も難しいよね。払わなくても罰せられることはないんだけどね。なんだろ、良心の呵責(かしゃく)に訴えてくるよね。タレントさんって、食べ物屋さんとかに行くと、サインを頼まれたりして、本当においしければいいけど、そうでもないのにサイン色紙を店に飾られたら、おいしいって認めたみたいで嫌だよね。お店側は、有名人が来たら目ざとく見つけ、ファンでもないのに、とりあえずタダなんだからサインもらっとけってな感じ。壁中に貼り、店の株を上げる。対価としては、良心的な店で、1品サービスしてくれるくらい。正直そんなんでチャラにはならない。写真もお願いされて、そこで「有名税だね」なんて言われるんです。
確認だけど、みんな「税金」って嫌なものという意識だよね。つまり、この人はタレントに嫌なことをしているという意識はあるのかな? せっかくだから得してやろうという自分の卑しい気持ちを打ち消す免罪符として「有名税」って言っているのかな。タレント本人が言うんならいいんだけどね。「サイン書きますよ、写真も撮りましょう、私はスターだから有名税を払う義務があるんです」ってね。ま、そう口に出さなくても、心で思いながら笑顔で対応するタレントはすばらしいよね。ブラボー!
僕の場合、味は普通で接客もよくないのに「サイン書いて」って、人にものを頼むのにタメ口で上からきた店には、いつもとちょっと違うサインを書くようにしています。点が3つ書いてあるサインが飾ってあったら、苦手な店ってこと。そもそも飾られてないことが多いけど。
(文・絵/つぶやきシロー)
【PROFILE】
つぶやきシロー ◎1971年3月10日、栃木県生まれ。お笑いタレントや俳優として活動するかたわら、2011年からは小説も執筆。2021年には、著書『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館刊)が安田顕主演で映画化された。2022年4月、新著『こんな人いるよねぇ~──本を読んでつぶやいた』(自由国民社刊)を上梓。また、2009年から公式Twitterでほぼ毎日「あるあるネタ」をつぶやき続けて大人気に。フォロワー数は103万人を超える。(2023年2月現在)
公式Twitter→@shiro_tsubuyaki