コロナ禍のため残念ながら無観客開催となった東京2020オリンピック・パラリンピック。東京2020公式マスコットキャラクターの「ミライトワ」と「ソメイティ」の露出も少なく“日陰の身”となっていましたが、にわかに人気が上昇したのは、9月5日のパラリンピック閉会式でした。
それまでオリンピックの開・閉会式にも、パラリンピックの開会式にも姿を現さなかったことから、ネット上では二人の登場を待ちわびる声が高まっていました。それに応えるように、パラリンピック閉会式に満を持して登場したのです。曲に合わせて健気(けなげ)にパフォーマンスする姿に視聴者はくぎ付けとなり、Twitterのトレンドに「ミライトワ」「ソメイティ」が急浮上。《生きていた》《出番があってホントによかった》《もう…ずっと忘れない》と歓喜のコメントもあふれました。
あれから約3か月。ミライトワとソメイティはどうしているのでしょうか。気になった私は彼らにじかに会えるイベントが行われていると聞き、11月26日に潜入取材。その模様をお届けしたいと思います。
マスコットと記念撮影できるグリーティングが大人気
東京2020大会のアーカイブ資産等の展示イベントは、有楽町にある東京スポーツスクエアで11月23日(火・祝)から30日(火)まで開催されています。10月に同会場で東京都と組織委員会が主催した「TOKYO2020 ARIGATOイベント」の大好評ぶりを受けてか、第2弾とも言える今回のイベント開催が急きょ、発表されました。
会場内では聖火リレーのトーチをはじめ、実際にパラリンピック選手が使用した競技用具、選手村で使われていたダンボールベッドなどの貴重な品を間近で見ることができます。パラ競技の「ボッチャ」や「ゴールボール」体験コーナーや、実物の表彰台に上って撮影できるスペースも見逃せません。また、「東京2020ファイナルセール」として、オフィシャルグッズ売り場では最大80%割引となっているのも嬉しいポイントです。
このイベントを催している東京都のオリンピック・パラリンピック準備局 計画推進部の方に話を聞くと、「祝日だった初日は1500人くらいの方が、平日は各日1000人弱の方が訪れてくださっています」と盛況ぶりを教えてくれました。
そして目玉になっているのがミライトワとソメイティとの記念撮影ができる「マスコットグリーティング」。開催期間中は毎日4回に行われ、各日先着120組限定となっています。
開場時間の11:30に訪れると、整理券を求めて70人以上の人の列ができていました。若い女性や親子連れ、中年男性、お年寄りのご婦人まで、老若男女のミラソメファンが集まっていましたが、多くを占めていたのは30代以上と思われる大人の女性たち。アラフォーの私もミライトワとソメイティのえも言われぬかわいさに惹(ひ)かれた一人ですので、二人には女性心理に訴えかける魅力があるのかも……と感じながら会場に入りました。
奥に進むと国立競技場とオリンピックエンブレムがドドンと映った背景パネルが用意されており、どうやらそこがグリーティングのステージのようです。ステージの前には整理券を手にした30組が並び、さらにその後ろはグリーティングを観覧できるスペースに集まった多くの方達でにぎわっていました。感染対策のために待機列の間にもソーシャルディスタンスが取られており、大きな声を出すのも禁止。みなさん静かにミラソメの出現を待ちわびています。
12時になると「東京2020公認プログラム」であるFoorinの『パプリカ』の音楽に乗ってミライトワとソメイティが登場! 二人とも丸くてぽってりした姿にもかかわらずキレのあるダンスを見せ、観客からは「かわいい」のため息がこぼれます。
ミライトワとソメイティの二人を間近で見て思ったことは、姿形もですが、とにかく仕草(しぐさ)がかわいい。手を口に当てて「ウフフ」と笑うようなポーズをして見つめ合ったり、わちゃわちゃとじゃれあったり、両手を振ってバイバイしたり……完璧なファンサービスぶりは、まるで人気アイドルのようです。
そして本日1回目の撮影会が始まりました。二人とどんな動画や写真を撮りたいかを会場スタッフと相談の上、動画は30秒程度、静止画は1ポーズで3回シャッターを押すことができます。撮影はスタッフに任せてもよし、自撮りするのもよし。ミライトワとソメイティに挟まれてスリーショットを撮ったり、一緒にダンスを踊って動画を撮ったり、人それぞれの撮影会を眺めているだけでも楽しいひとときです。
大人女子が語るミライトワとソメイティの魅力
撮影会に参加した大人女子の方々に、ミライトワとソメイティの魅力を聞いてみました。
都内から来たという姉妹は、なんと朝7時から並んで整理券をゲットしたと言います。
「オリンピックの開幕中からかわいいなと思っていたんですけど、パラの閉会式でやっと二人が出て来てくれて。グリーティングがあるって聞いて行くしかない! と思いました」と言うお姉さんのすすめで、妹さんもハマってしまったそう。妹さんは実物のマスコットのもっちり感が大好きだそうで、「後ろ姿もまたかわいいんです、雪見だいふくみたいでしょう?」とフォルムの素晴らしさを手放しで褒めていました。
千葉から来たという女性も、実物の二人に魅了されたそう。
「ポヨンとしたおなかとか、後ろ姿もお尻も全部かわいい! 見ていると元気になるんです。イベントに参加するまでマスコットにハマったのは初めてですね」
撮影会には都内から来たという赤ちゃん連れのママの姿もありました。ミライトワとソメイティに囲まれながら、ママから20年後の赤ちゃんに向けて「20歳の誕生日おめでとう」のメッセージビデオを録画。会場は温かい拍手に包まれました。
「オリンピックが始まる前にこの子が生まれて、観戦チケットも当たっていたので一緒に見られると楽しみにしていたんですが、残念ながら無観客になってしまって……。この子が大きくなったときに、“こんな年に生まれたんだ”ってわかってもらえればと思って動画を撮りました」とそのわけを話します。きっとお子さんにとって素晴らしい思い出になることでしょう。
ほかにも小さな女の子を連れたお父さんや、二人のファンだという高齢のお母様を連れた娘さんの姿もあり、幅広い年代から愛されていることが伝わりました。
二人の今後はどうなる?
そんなファンの方達が口々に気にかけていたのが、ミライトワとソメイティの今後についてです。
先の話を伺った都内在住の姉妹は「これからも東京の代表としてもっと活躍してほしい」と話し、千葉から来た女性も「できれば東京都のスポーツ振興のマスコットとかになってほしい。千葉県マスコットのチーバくんはもともと千葉国体(2007年開催)のキャラなので、そんなふうに残ってくれたら」と活動存続を願っていると言います。
東京大会の終了とともに二人の活動が終了してしまうのは耐えられないと、Twitterでも《#ミラソメ存続希望》とハッシュタグを付けて自作のイラストやぬい撮り(ぬいぐるみを主役にして写真を撮ること)の写真をアップして、二人の魅力を伝えつつ存続を訴える声を拡散するファンも多いのです。
二人は今後、東京都のマスコットになる可能性はあるのか。先ほどの東京都オリンピック・パラリンピック準備局 計画推進部の方に聞いてみると、「なんとも言えない」と苦渋の表情をしつつ権利関係の複雑さを教えてくれました。
「現在はマスコットの権利は組織委員会にあるので、東京都はそこからお借りしている状態です。来年3月に組織委員会が解散になるので、その後は基本的にはすべてIOC、IPCの帰属となり、そこから東京都がアーカイブ資産として引き継いで保管、管理、利活用をして行くという流れになります。来年の3月までに協定などの整備をして、東京都としてちゃんとマスコットを譲り受けるという形を作っていかなければいけませんので、いまはその調整をしている状態です」
今後の結論はまだ出ていないとのことなので、希望を込めて見守るしかなさそうです。さらに朗報としては、今年度に再び都内で東京2020大会のアーカイブ資産の展示イベントが行われる予定とのこと。会場のスペースや状況などが許せば、ミライトワとソメイティがまた登場する可能性もあるということなので、こちらも希望を持って待ちたいと思います。
今回のイベントは11月30日までと残りわずか。かわいいミライトワとソメイティに会いに、ぜひ訪れてみてください。テレビ観戦しかできなかったオリパラの感動や興奮を味わえる展示も必見ですよ。
※関連写真ページで、イベントでのミライトワ&ソメイティのかわいい写真をもっと見ることができます。
■実施期間:令和3年11月23日(火・祝)~11月30日(火) 11:30~19:00
■実施場所:東京スポーツスクエア1階(東京都千代田区丸の内三丁目8番3号) ※入場無料
■東京2020マスコット グリーティング
実施内容:東京2020マスコットとの記念撮影
スケジュール:11月23日(火・祝)~11月30日(火)
毎日12:00~12:30/14:00~14:30/16:00~16:30/18:00~18:30
参加希望の方への留意事項:
※各日、先着120組様限定となります(各回30組限定)
※各組の定員は4名様となります
※各日、11時より先着順に代表者1名につき1枚の当日の整理券を配布いたします
※各回、30分前よりスタッフが順次ご案内いたします
※当日の状況により、整列方法等が変更になる場合がございます
(取材・文/小新井知子)