昼食を終えて、午後の仕事。
今はまだ寒いからそうでもありませんが、これから暖かくなってくると、ついまぶたが重くなることはありませんか?
これは、そんな「眠くなる午後」に、仕事の効率を落とさないための「コーヒーナップ」と呼ばれる習慣の話。
午後の眠気を覚ます「コーヒーナップ」とは?
仮眠室が用意されている会社ならよいのです。でも、”そんな気が利いたものはない”というオフィスでは、デスクで居眠りするわけにもいかず、仕事をしながら、うつらうつら……。
取引先へ送る見積書を、違う会社へ送信してしまったり、8万円の請求なのに8億円と入力したりと、豪快なミスを連発してしまったりして……。
それはまあ、いくらなんでもないとしても、午後の眠気は生産性を落とすだけでなく、とんでもないミスにつながりかねません。
そこでおすすめしたいのが、午後の眠気を防ぎ、仕事や作業の生産性を上げる「コーヒーナップ」という習慣です。
「ナップ(nap)」とは、「昼寝」とか「うたたね」という意味。これにコーヒーを合わせたのが「コーヒーナップ」。つまり、「コーヒーを飲んでする昼寝」という意味です。
「えっ? コーヒーを飲んだらカフェインで眠れなくなるよね?」
あなた、今、そう思いましたね。
そうそう、私も子どものころ、「夜にコーヒーを飲むと、眠れなくなるからやめなさい」なんて言われて育ちました。
コーヒーに含まれるカフェインに、覚醒作用があるのは間違いありません。
でも、その効果が表れるのは、飲んで30分くらいたってからの話。
飲んですぐは、香りによるリラックス効果や糖質の摂取によって眠気を誘い、15~20分くらいの昼寝のあとには覚醒作用がある!
実は、コーヒーは「短い昼寝」にもってこいの飲み物なのです。
「コーヒーナップ」を効果的に行うには?
ちなみに、この「カフェイン入りコーヒーを飲んでからの昼寝」が午後の作業効率を上げることは、学術的にも証明されています。
広島大学の林光緒教授が大学生を対象に、次の条件でそれぞれの「午後の眠気とパフォーマンス」を測定しました。
「昼寝なし」
「昼寝あり」
「昼寝プラス昼寝後の洗顔」
「昼寝プラス昼寝後に強い光を浴びる」
「カフェイン(コーヒー)摂取+昼寝」
その結果、「コーヒーを飲んでから昼寝をした」学生の“起きた後の眠気がもっとも低く、パフォーマンス(記憶テスト)が高い”ことがわかったのです。
ベストな昼寝は、「ぐっすりと短い時間眠ること」。どうやらコーヒーは、それを助けてくれる作用があるようなのです。
実験の結果、どうやら効果があるらしいことが証明された、コーヒーナップ。
調べてみると、さらに効果的に行うためのポイントは、以下のとおりです。
〇 コーヒーを飲むタイミングは、昼寝の直前
〇 カフェイン摂取量の目安は200ミリグラム(コーヒー1杯半程度)
〇 可能なら照明を落とし、静かな環境で楽な姿勢をとってリラックスする(目隠しや耳栓をしてもよい)
〇 眠る時間は15分~20分程度(20分を超えると、眠りが深くなるので逆効果)
〇 好きな音楽を目覚まし音代わりに使うなどの方法で、気持ちよく起きる(けたたましい音での目覚めは、心臓によくないです(笑))
ちなみに私も昼食後、パソコンに向かって原稿の執筆を始めると、無性に眠くなる日があります。
そんなときは、無理をしないでひと眠りすることにしています。
総じて、眠気に堪えてダラダラと執筆を続けるよりも、ほんの15分でもひと眠りしてからのほうが、少なく見積もっても10倍くらいは効率アップするように思います。
「午後は眠くて仕事にならなーい」という方。
このコーヒーナップ、ぜひ試してみてください。
(文/西沢泰生)