ドラマ『高良くんと天城くん』では、友人の恋をひそかに見守るメガネがトレードマークの香取役を、『アカイリンゴ』では、主人公を怪しい会員制クラブへと引き込んでいく同級生・志場役と、多くのドラマでまったく異なるキャラクターを演じ分けている俳優の鈴木康介さん。インタビュー前編では、現在放送中のドラマ『ジャックフロスト』についてお話を伺いました。後編では、鈴木さんの内面や、気になるプライベートにも迫ってみたいと思います!
今年立てた目標がすでに叶った
──2018年にデビューして以来、数々の舞台や映像作品に出演され、昨年は5本のドラマに出演と大活躍ですが、この5年間を振り返ってみて、ご自身でターニングポイントになったと思う作品はありますか?
初めての主演ということもあって、今回の『ジャックフロスト』が自分のターニングポイントになるんじゃないかという気がしています。僕、2023年の目標をふたつ決めていて、ひとつは舞台に出ること、もうひとつはドラマで主演をやることだったんですよ。それが両方ともすでに叶(かな)ったので、やっぱり目標を立てることって大事だなと思いました。こんなにも早く目標達成できたことはこの5年間なかったので、さらに今年、ここからどうなるのか楽しみですね。
──実際にメインという立場に立ってみて、これまでとは違うものを感じますか?
やはり全然違いますね。「もし僕が妥協してしまったら終わりだな」という責任みたいなものは感じました。もちろん妥協はしませんでしたが、これまではわりと脇役や3番手、4番手あたりの役どころを演じることが多かったんです。
例えば、僕が演技でちょっとミスをしてしまったとしても、主役の方がフォローしてくださって進行していくこともありますが、今回は自分がメインの役どころなので、作品を引っ張っていく難しさを知りました。今まで見てきた主役の方々は本当にすごかったんだなということを、今回改めて感じました。
──現場で「主役」というプレッシャーの重圧を感じることはありましたか?
実際にクランクインしてみたら、そこまでプレッシャーを感じることはなくて、わりとのびのびとやらせてもらえたと思います。自分のできる範囲で全力でやるということは変わらないし、できないことを頑張ってできるようにするより、今自分ができる最大限の力を最大限出すのがベストだと思うんです。
でも、いまだに怖いですよ。「噛んだらどうしよう」とか「セリフが出てこなくなったら……」と思うと、つい置きにいく芝居をしたくなってしまうときもあるんですけど、それを乗り越えることで自信にもつながると思うし、ビビって手を抜くのだけはよくないなと思っています。
18歳まで使っていた三河弁の基本は「じゃん・だら・りん」
──ここからは鈴木さんご自身のことについてもいろいろとお聞きしたいと思います。プロフィールを拝見したところ、愛知県ご出身で方言の欄に「三河弁」と書いてあったのですが、三河弁とはどんな言葉なのですか?
三河弁の基本は「じゃんだらりん」って言うんですよ。例えば、「こう言っとったじゃん」とか「なんとかだら~」、「やってみりん」と、「じゃん」「だら」「りん」が語尾につくんです。
──「やってみりん」ってかわいいですね(笑)。
あとは「こっち来て」っていうときに「こっちこりん」もあります。
──それもかわいいですね! そういえば、先日のインスタライブでも、視聴者の方から山口弁で「好きだよ」という意味の「『すいちょるよ』って言ってください」というリクエストもありましたが、三河弁で「好きだよ」は何て言うのですか?
「好きだに」ですかね。でも告白するときは普通に「好きだよ」って言うと思います(笑)。
──愛知県だと名古屋弁が有名ですが、それとはまた少し違うんですね。
違いますね。僕は愛知県の豊川市出身なんですけど、どちらかというと静岡県の浜松寄りなんです。なので、電車で名古屋に行くよりも浜松に行ったほうが近いんですよ。
──三河弁は何歳くらいまで使っていましたか?
18歳までですね。大学が大阪にあったので、高校までは友達と普通に使っていましたし、今でも母と電話するときは三河弁で話すこともあります。自分でよく言っているのは「そうだら~」ですかね。ドラマでも「素でやろう」という気持ちが強くなると、三河弁と標準語がごちゃ混ぜになっちゃいます。
やるのはサッカー、見るのは野球。その理由とは?
──鈴木さんの趣味は、コーヒーを淹(い)れることだそうですね。
もともとコーヒーが好きだったのですが、特別こだわろうとは思ったことがなくて、コンビニや近くのカフェに行っていたんです。でも、あるとき「自分で淹れてみようかな」と思って道具を一式そろえてみたら、「こんな本格的なコーヒーが家で飲めるんだ!」って感動して! 使う道具にもすごく愛着が湧いて、嬉しくなったんです。そこからハマっちゃいました。
──ドラマの中でも郁哉がコーヒーを淹れようとしているシーンがありましたが、きっと鈴木さんがご自宅で淹れている様子もああいう感じなんだろうな~と想像しておきます(笑)。そのほかに、今熱い気持ちを持っているものはありますか。
野球観戦ですね。高校までサッカーをやっていたんですけど、見るのは野球が好きなんです。
──自分がやるスポーツと、見るのが好きなスポーツが違うんですね。
そうですね。でも、サッカーも見ますよ。この間のワールドカップも見ましたし。だけど、やっぱり見ているとやりたくなっちゃうじゃないですか。野球は自分でやりたいという気持ちにはならないので、ビールを飲みながら気楽に見れる感じがいいんです。
──ちなみに、野球はどちらのチームのファンですか?
読売ジャイアンツです。
──そうなんですね。愛知県ご出身だとてっきり「中日ドラゴンズ」なのかと思いました。
家族はみんな中日ファンなので、実家に帰ると「お前まじか!?」って言われるんですけど(笑)。中日の試合って東京じゃ見れないんですよ。たまたま東京に来てテレビで見たのがジャイアンツの試合だったので、そこからファンになりました。
──野球好きになったのは何かきっかけがあったのでしょうか。
コロナ禍になって、たまたまテレビで見たジャイアンツの試合が好きになるきっかけでした。役者目線で見るというとおかしいのですが、ホームランを打たれた瞬間や、「次に投げる球がボールだったら押し出しで1点入っちゃう」みたいなときのピッチャーの表情がすごく面白くて「演技していないってこういうことなんだろうな」と、そのときに思ったんですよね。それに、ピッチャーの目線ひとつでキャッチャーに意図が伝わるじゃないですか。そういうところからも芝居のヒントをつかんでいこうと思って見ていたので、今の自分の演技に生かせていたらいいなと思います。
(取材・文/根津香菜子、編集/福アニー、撮影/松嶋愛、ヘアメイク/カスヤユウスケ(ADDICT_CASE)、スタイリスト/emi ito(ADDICT_CASE))
【Profile】
●鈴木康介(すずき・こうすけ)
1997年12月19日生まれ、愛知県出身。2019年のAbemaTV配信番組『白雪とオオカミくんには騙されない』への出演で一躍話題に。その後、ドラマ『赤ひげ』(NHK)シリーズなど話題作に出演。主な出演作は『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』『彼女、お借りします』『高良くんと天城くん』など。5月に舞台『ウィングレス(wingless)ー翼を持たぬ天使ー』の出演を控えている。
【Information】
●ドラマ『ジャックフロスト』
監督:安川有果、高橋名月
脚本:安川有果、高橋名月、船曳真珠
原案:窓霜
出演:本田響矢、鈴木康介、森愁斗、祷キララ、松本怜生
毎週木曜深夜1:29(※5話は1:34)よりMBS他にて放送(全6話)
TVer、MBS動画イズム、GYAO!で見逃し配信1週間あり