地方の新興住宅地・虹見ヶ丘団地群に暮らす幼なじみ3人が、人々の抱える悩みをゆる〜く解決していく青春コメディ『ぴーすおぶけーき』。テレビドラマと演劇の連動企画でもある本作は、まず10月25日深夜に日本テレビでドラマがスタートし、2023年1月には舞台版が上演される。
フムフムニュース編集部は、基俊介(IMPACTors / ジャニーズJr.)&落合モトキと“おバカ”な幼なじみ3人組にふんする佐々木美玲にインタビューを敢行。作品の魅力と、お悩み相談に向き合う劇世界とリアルについて語ってもらった。
「そもそもってもいいですか?」を起点にお悩み解決へ向かう
──佐々木さんが演じる中村氏は、どんな人物でしょうか? ご自身の言葉でお聞きできたら。
下田くん(基俊介)、中村氏(佐々木美玲)、上原先輩(落合モトキ)は3人とも「おバカ」なんですが、特に中村氏は誰の目から見てもわかりやすいおバカさんです(笑)。急に踊り出したり手遊びしたり、おふざけを率先してやるような落ち着きのなさが特徴といいますか……明るくて天真爛漫(てんしんらんまん)なキャラクターですね。
──台本を拝読したら、中村氏のセリフにはたくさん草が生えていましたね。発言するたびに「w」の文字が。
そうなんですよ! 中村氏がどういう笑い方をするか、最初は探り探りでした。あんまりイヤミっぽくならないように心がけたり、何も考えず単刀直入に思ったことをズバッと言うけれど、悪気なく聞こえるようにしたり。「アハハ!」って明るく笑い飛ばしているイメージで「w」を捉えていましたね。
この作品って原作がなくオリジナルなので、スタッフさんとの話し合いをベースにしながらも、演じる私がある程度イメージを抱いて臨まなきゃいけない気がして。「天真爛漫」にたどり着くまで、かなり試行錯誤しました。
──日向坂46の公式サイトに載っている佐々木さんのブログにも《何回もリハーサルを重ねて、色んな方にアドバイスを頂いて完成させました》とありました。どなたからアドバイスを受け、どのように乗り越えていかれたのでしょうか?
本読みのときにスタッフの方からアドバイスをいただきました。でも、うまく対応できないことがあって。というのも「もう少し飄々(ひょうひょう)として」とご指示いただいたんですが「飄々とする」の意味をはき違えて、ちょっとクールに構えた読み方をしてしまっていて(笑)。
基さん・落合さんと3人で本読みをさらに重ねることによって、中村氏のキャラクターに方向づけがなされていったような気がします。下田くん・中村氏・上原先輩は幼なじみという共通項はありながらも、年齢や立場がバラバラ。だからいろんな視点から意見を言うんですよ。物事の受け止め方・見方が3人とも異なるからこそ生まれる独自性に注目していきました。
まじめな下田くん、カッコつける上原先輩になくて、「中村氏だけにあるものは何だろう?」と考えたとき、中村氏ってとにかく自信にあふれてハッピーに毎日を生きている子だな、と思って。そんな彼女の口癖である「そもそもってもいいですか?」にも、中村氏のキャラクターが表れていると思います。
──前提を再確認しつつ固定概念を覆す「そもそもってもいいですか?」って、日ごろ根拠のない自信や多幸感に満ちていないとなかなか言えないですよね。
そうなんですよね。しかも「そもそもってもいいですか?」から解決に向けて状況が動いていく。だから中村氏って天真爛漫でおバカキャラでありながらも、意外と相談者にヒントを与える存在でもあるのかなって。
佐々木美玲も中村氏も「ポジティブシンキング」
──ラジオでは、「役づくりに悩んだ結果、中村氏は素の自分に近いキャラクターになった」とおっしゃっていました。中村氏のどんな面がご自身に近しいと感じていらっしゃいますか?
明るいところですかね。私もよく周りから「天真爛漫」と言われるので、そういうところも中村氏と近しいのかな、と思います。ただ中村氏っていつもテンション高いんですよね。リアルの佐々木美玲はニュートラルなときもあるので、私がテンションMAXの瞬間が中村氏の通常運転のような気がしました。だから最初は中村氏のテンションに持っていくのが大変で(苦笑)。
──高いテンションのままキープすると、疲れてしまう?
体力より「気力」を使っているような感覚がありました。でも撮影が進むごとにそれが普通になってきて、むしろ「毎日こんなハッピーでいられる中村氏っていいな」と感じるようになっていました。
──『ぴーすおぶけーき』放送が発表されたとき、佐々木さんを応援しているファンの方が引用リツイートで「みーぱん、中村氏は素で演じられるのでは」「役づくり要らなさそう」とおっしゃっていました。
「私ってそんなふうに見えているんだ!」って感じました。自分の姿を客観的に受け止めることは難しいから、「どう見えているのかな」と気になっても、なかなか自分から確認することはできなくて。でも私がテンションMAXになっているところをご覧になって、中村氏と結びつけてくださったんですよね。よく見てくださっていて、うれしいです。
──来年1月の舞台化に際して「アフタートークで観客のお悩みが解決されるかもしれない」という予告がありました。目の前で繰り広げられる悩みに、中村氏としてどんなふうに向き合おうと考えていらっしゃいますか?
中村氏はポジティブ思考だから、明るく前向きに解決したいですよね。どうやって解決に導くか、というより「こういう気持ちで受け取ったらいいんじゃないかな」ってポジティブシンキングをお伝えできれば。
──佐々木さんご自身は、どのように悩み相談に応じますか? 中村氏のように悩みに向き合うスタンスをお伝えするのか、それとも論理的にアドバイスするのか、どちらでしょうか?
論理的ではないので、中村氏寄りかもしれないですね。「ノリでいっちゃおう!」っていう感覚派なので(苦笑)。グループ(日向坂46)には後輩が多いから、自分の経験談をもとに「こういうことがあったから大丈夫だよ」「気にしちゃダメだよ」ってポジティブに励ますことが多いですね。
相談者に無理強いしない、ゆる〜いお悩み相談が3人の魅力
──共演された基俊介さん・落合モトキさんの、俳優としての魅力はどんなところにあると思いますか?
お二人から学んだこと、たくさんありました。まず基さんは「対応力」がとっても高い方ですよね。演出を受けたあとの豹変(ひょうへん)ぶりがすごかったです。それから現場での変更にも慣れていらっしゃる感じがしました。とにかく臨機応変で。
落合さんは芸歴が長いですし、テレビで拝見していた俳優さんなので、一緒にこうやって撮影しながら間近で演技を見ることができて圧倒されました。最初の本読みから、すでに上原先輩だったんですよ。監督さんも「上原先輩はそういう感じだね」って早々にGOサインを出していらっしゃいました。
──中村氏、下田くん、上原先輩のゆるい掛け合いがこのドラマにおける最大の魅力だと思いました。仲良しの幼なじみ3人組に見える雰囲気を、御三方やスタッフ間でどのようにつくっていかれたのでしょうか?
劇中の年齢設定だと中村氏は真ん中なんですが、現実世界では基さん・落合さんは私よりお兄ちゃんでキャスト3人の中では私が最年少だったんですね。加えて人見知りを発揮してしまって。でもお二人ともいろいろ察知してくださったのか、優しく楽しく接してくださいました。そのおかげで2〜3回目で徐々に打ち解けることができて。本読みとリハーサルの期間があったおかげで、だんだんと仲睦まじい幼なじみになっていけたような気がします。
──ドラマに登場する相談者のように、撮影現場において基さん・落合さんの言動からヒントを得て佐々木さんのモヤモヤがすっきりした経験があればエピソードを教えてください。
セリフはあるけどト書きがなく「どうやって動いたらいいんだろう?」って戸惑う場面や、掛け合いがテンポよく弾まないとき、お二人が自然と「本読みに戻って確認してみよう」とリードしてくださることがありました。その積み重ねなのか、あうんの呼吸じゃないですけど……演じながら「このシーン、3人だったら顔を見合わせそうだな」って私が感じた瞬間に、タイミングよく視線を合わせてくださって。アドリブや自分以外の人物がセリフを言っているときの動きも、アイデアを自由に形にできる空間がありがたかったですね。
──台本を拝読して、固定観念をゆる〜く覆していく3人のお悩み解決ぶりが本作の見どころでもあると思いました。中村氏・下田くん・上原先輩の何気ない発言がきっかけに、お悩みが解決に向けて加速していく印象を受けたのですが、相談者の心を動かし実際の行動に移させる3人の魅力を、佐々木さんはどのように感じていらっしゃいますか?
結果的に相談者のお悩み解決に貢献していますが、私はあの3人のゆる〜い掛け合いが「相談者を無理に動かそうとしていないところがすてきだな」って思うんです。何より、おバカだから憎めない。見ていると「自由だな」ってうらやましくなります。
お仕事していると言動をセーブしたりするじゃないですか。でも『ぴーすおぶけーき』の下田くん・中村氏・上原先輩を見ていたら、そういう抑圧みたいなものをきっと忘れられるんじゃないかな。ドラマはひと息ついた深夜に「あ、こういう空気とってもいいな」とホッとしながらご覧いただける作品だと思います。
(取材・文/岡山朋代、編集/福アニー、スタイリスト/御手洗優、ヘアメイク/箕輪亜希乃、高木美都子)
【Information】
●『ぴーすおぶけーき』
★ドラマ放送・配信情報
放送:2022年10月25日(火)より毎週火曜深夜25時29分~25時59分(関東ローカル)
配信:Hulu、TVer ※毎話放送後配信開始
★舞台情報
会期:2023年1月20日(金)~1月29日(日)
会場:天王洲 銀河劇場
Twitter:https://twitter.com/poc_ntv
Instagram:https://www.instagram.com/poc_ntv/