吉本興業所属の男女お笑いコンビ・蛙亭。蛙亭といえば、2021年『キングオブコント』にて、決勝の舞台に初出場。人工生命体のネタでお茶の間をざわつかせ、テレビや劇場で幅広く活躍しています。
そんな蛙亭のネタづくりを担当しているのは、宮崎なまりと飾らない姿が印象的なイワクラさん。
イワクラさんといえば、テレビやラジオに出演したお笑い芸人のエピソードトークに、登場することが多く、交友関係が広い印象も。
多くの人たちから愛される理由を探るべく、イワクラさん本人にインタビュー。インタビュー前編では、人付き合いをテーマに話を聞きました。
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人付き合いのコツは、無理に友達を作らない
──イワクラさんといえば、いろんな芸人さんのエピソードトークに登場するイメージがあります。オフのときは、どのような感じなのでしょう?
「飲みに行くことが多いんですけど、あまりしゃべらないですし、話を聞いているほうが好きなので、このままですかね。ただ、結構酔っ払ったときは、めちゃくちゃ早口で、口も悪くなって、悪口ばかり言っています(笑)」
──意外な一面(笑)。仕事とプライベートは人間関係をしっかりと分けたいという方もいらっしゃいますが、イワクラさんはそこはあまり気にせず、芸人さんと遊ぶことが多いのでしょうか?
「そうですね。でも、あまり“何つながりの友達”と、分けることがないので、ごちゃ混ぜになることもあります。この前なんて、地元の友達と、後輩芸人のエルフ荒川と一緒に飲みに行きましたから」
──そうなんですね! 単刀直入に聞きますが、ずばりイワクラさん流、人付き合いのコツを教えてください。
「うーん……無理に友達を作りにいかないということですかね。ひとりでいるのが寂しいからって、身の丈に合わない頑張り方をして、無理に仲よくしてしまうと、疲れてしまうと思うので」
──そう考えるようになったのは、なぜなんでしょう?
「高校に進学したときに、それまで一緒に過ごしていた友達と離れてしまったんですね。そんな中、周りはどんどん友達ができていって、内心焦っていたんですけど、私はみんなみたいに積極的に行けなくて。
さらにいうと、クラスで自己紹介するときに“特技は第2関節を曲げることです”って気持ち悪い特技を披露したら、引かれちゃったんですよ。それもあって、さらに友達ができなくて。
駅から高校までの道のりをみんなが友達と歩いている中、ひとりで歩くのも、無理やり誰かと行くのも嫌だったから、早歩きしたんです。10分かかるところを6分くらいのスピードで。そしたら“やばいヤツいる”って話題になったんですよね」
──そうなんですね。
「でも、入学してから1か月ほどたったときに、そういう私をおもしろがって“歩くの速すぎない?”って話しかけてくれた子がいました。それをきっかけに一緒に登校するようになったのですが、その子は今でも仲がよい、親友なんですね。
出遅れちゃったときはしんどかったんですけど、“無理に友達を作ろうと背伸びしなくてよかったな”と、考えるようになりました」
先輩との接し方は、エルフ荒川から学んだ
──イワクラさんと仲のよい霜降り明星のせいやさんは、年齢的にはイワクラさんより下ですが芸人としては先輩です。また、先ほどお話に出た、エルフ荒川さんは後輩に当たるわけで、先輩・後輩の垣根なく仲のよい方がいらっしゃるイメージがあるのですが、先輩・後輩付き合いで気をつけていることはありますか?
「前までは、たとえ年下でも先輩だったら、ちゃんと先輩として接しなくちゃいけないなと思っていましたが、最近はちょっと友達っぽくしても、ギリギリ怒られないなということに気づきました。そう思えるようになったのは、荒川のおかげなんですけどね」
──なぜ荒川さんのおかげなんでしょう?
「荒川って、先輩にも普通に“かわいい!”とか言うんです。“イワクラさん、めっちゃおもろいですっ!”って言って、指ハートしてくることもあるし。いざ後輩からそういう行動をされて気づいたのですが、後輩にそうやって接されることって、全然イヤな気がしなかったんですよ。
ぱーてぃーちゃんの金子きょんちぃに“かわちぃ”って言われたときもそう。“先輩にもかわちいって言っていいんだな、堅苦しくしすぎなくていいんだな”と気づきました」
──逆に後輩と接するときに、気をつけていることはありますか?
「“おもしろいな”と思ったときは“おもしろかった”って言うようにしています。
NSC(吉本総合芸能学院)に入ってすぐのころ、クラスの人気者みたいな人がネタ見せのときにウケていたり、どんどん相方ができていったりする中で、なかなかうまくいかなかったんですね。
そのときに“やっぱり芸人って明るい人がなるのか、私はお笑い向いてないのかな”“自分がおもしろいと思っていることがウケないのってしんどいな”と悩んだことがあったのですが、そのときに先輩が“大喜利おもしろかったよ!”って、声をかけてくれて“もうちょっと頑張ろう”って思えたんです」
──ステキですね。
「やっぱりおもしろい先輩から言われる“おもろかった”って、すごく嬉しいんですよね。“間違ってなかったんだな”って思える。だから私も後輩に、偉そうにならない程度に“おもしろい”と思ったときには伝えるようにしています。
結構褒めすぎちゃうので、後輩から信じられてないかもしれないですけど(笑)」
──そうなんですね。
「それと、誘うときは、ちゃんと要件を先に言うこと。昔はちょっとだらしなかったので、先に要件を言わずに“この日、空いてる?”って連絡しちゃってたんですけど、それって自分がされたら嫌なので、後輩にはしないように心がけています」
周囲との良好な関係性のために“きちんと寝る”
──ちなみに、相方の中野周平さんとの関係性で意識されていることはありますか?
「あまりないんですよね。もともと好きな芸人さんが、ロバートさんとか、東京03さん、次長課長さんと同じで、今でもおもしろいと思うところが一緒なので、感覚的に伝えても、だいたい理解してくれるんです。
他の人だったら“ちゃんと説明して”って、たぶん言われるんでしょうけど、それがないので楽ですね」
──いいですね。
「ただ私、寝ないと本当にイラッとしてしまって、人に八つ当たりしちゃうんです。それがあまりにも多いと、相方が悪いことをして怒ったときにも“あー、寝てないからイラついてるぜ”と思われるんじゃないかな、そうだったらムカつくなと思うので、きちんと寝て八つ当たりしないようにしています」
──それは大事かもしれませんね。
「朝早いと、ぼーっとして挨拶もまともに返せないことがあったのですが、相手から見たらそんなの知らないじゃないですか。ただ生意気なヤツって思われちゃうだけなので、それは避けたいなと。移動のときに15分寝るだけでも違うんです」
いじられる人は、愛されやすい
──先輩、後輩、地元のお友達といろんな方と接する中で、“この人、愛されキャラだな”と思う方ってどなたですか?
「せいやさんとか、マユリカの中谷さんとか。
3時のヒロインの福田麻貴さんは、プライベートでも、全部ツッコミで返してくれるので、すごいなと思っています」
──その方々の共通点ってありますか?
「周りからいじられやすい人、ということですかね。
例えば、いじったときに“自分のことはいじってもいいけど、他の人にしたらあかんで”みたいな感じで言ってくる先輩がいるとするじゃないですか。
そういう人って、決して怒っていなくとも“あまりいじられることをよく思っていないんだろうな”“プライドが高いな”と感じてしまって、プライベートでいじりづらい人になっちゃうんです。そう思ってしまうと、ちょっと壁を感じてしまいますよね」
──なるほど。
「でも、いじられやすい人って、いじられても全部返してくれるんですよ。だから、プライドが高いと思われない人、接しやすいと思われる人でいられるよう心がけています」
(取材・文/於ありさ、編集/本間美帆)
【PROFILE】
蛙亭・イワクラ 1990年生まれ、宮崎県出身。2011年NSC(吉本総合芸能学院)大阪校34期生。翌年、相方の中野周平と蛙亭を結成し、2020年4月より拠点を大阪から東京へ移す。その後、『キングオブコント2021』(TBSテレビ)で決勝に初進出し、イワクラ単体では『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日)の冠番組を持つなど、多方面で活躍中。現在ではネタ作りも手がけている。 Instagram→@babybabybodybaby
蛙亭のハッピーサマーライブ2023 チケット好評発売中!
日程:2023年6月3日(土)
会場:宮崎県小林市文化会館
開演:①14時00分 ②17時45分
料金:全席指定前売 5000円
出演者:蛙亭/ジェラードン/ロングコートダディ/ニッポンの社長ほか
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