出費を抑えるためには「買い物のやり方」を変えるべき、と人気インスタグラマーの時短節約家・くぅちゃん。実は、やるべきことより、やらないことに焦点をあてるほうが実を結ぶ食費節約。その手腕をじっくり見せてもらった。インタビュー前編は、くぅちゃん流「〜しない」買い物節約術10編です!
6年間で総額1000万円の貯蓄に成功した主婦ブロガー&インスタグラマー。夫と中学生、小学生の食べ盛りの息子2人を抱えながら、4人家族の食費を月4万円にする方法を発信している。著書に『節約主婦の今すぐ真似できる1000万円貯蓄』(KADOKAWA)がある。
くぅちゃん流「〜しない」買い物節約
「◯◯をやめたら」自然と貯め体質に。買い物の仕方を変えれば、これからの食費が増える時期も無駄な買い物や出費を防ぐことができる。時短にもつながるので、忙しい人には一石二鳥だ。
ケチるのではなく、無駄にしない節約
節約界のカリスマとして注目が集まっている「くぅちゃん」。意外にも前は浪費家だったというが、どうして食費の節約に目覚めたのだろうか。
「結婚後も総合病院でフルタイムの看護師として働いていたので、自分が働けば毎月決まった給与がもらえて、節約の必要は感じなかったんです。それが出産後は子育て優先の生活に。収入も減ったので、いままでと同じ金銭感覚ではいけないと気づき、お金がかかる生活を見直すようになったんです」
まず始めたのは、ネットのブログや雑誌の節約記事を読んで、“これなら自分でもできる”と思った節約術をかたっぱしから試してみる。
「私が知っていた節約は、お風呂にペットボトルを浮かべるといったイメージの、いわば昭和の節約法。でも、今の雑誌で紹介されている節約上手な人たちは違いました。
海外旅行にも行き、素敵な家に住んでいてもお金が貯まるような、生活の質を落とさない節約をいともたやすく実現していたのです。節約をしていてもつらそうに見えない。心を豊かに保てる節約術でなければ、やりたくないという気持ちがありました」(くぅちゃん、以下同)
素敵な暮らし方をしている人のブログや書籍を読み、まねができるところを取り入れて、自分独自の節約ルールを見つけ出した。
食費を月4万円に抑え、貯蓄を月10万円に
食費の節約を考え、1か月の食費を4万円に設定。
「子どもの学費として大学入学前までに1人あたり600万円を貯金する目標を立てました。逆算すると、学資保険などのほかに2人分で年間66万円を貯める必要があり、自分たちの老後資金と合わせて、月10万円を貯蓄に。それ以外にも、旅行や子どもにかかる費用を確保したいと考えました。それらを差し引いた金額が、食費4万円だったのです」
目安が決まれば予算も設定しやすくなる。
また、節約には家計簿が必須だという。
「最初は市販の家計簿を使っていましたが、もっと簡単にしたくてノートの見開きで1か月分の支出がわかるオリジナル家計簿を作りました」
買った物をひとつずつ書くのは性格的に向いていないと、記入の仕方も独自に考えた。
購入日と店名、金額だけの記入なので、レシート3枚なら3分ですむ(写真を参照)。
家計簿はつけるだけでなく、振り返りをすることも大事だ。昨年の同じ月の支出を見ながら予算を組んでいく。
「うちは夫婦別財布で、私の担当は主に食費や日用費などの生活に関する支出と、2人の子どもにかかるお金。それと、月10万円の貯蓄です」
まず食費を節約するには買い物の工夫がマスト。その工夫を詳しく見ていこう。
【1】1週間の献立表を作り、無計画な買い物をしない
安い食材をゲットしても、使い切れなくては無駄になる。それを避けるため、必ず献立表を作るようにしている。
「買い物に行く前に1週間分の献立表を作ります。まず冷蔵庫の中をチェック。先週買って残っている材料を全部書き出してみて、それで作れる料理を前半に持ってきます。また、曜日ごとにメインのおかずを決めておけば、献立を作るのがグンとラクに」
家族の次の1週間の予定をあらかじめリサーチしておくと、献立を決めやすい。
「例えば週末に予定が立て込んでいるなら、調理工程が大変なものを持ってこないようにします。自分の体力と相談しながら献立を考えることも大事」
【2】スーパーに行って安い食材探しをしない
1週間の献立表をもとに1週間分の買い物リストを作成。
「どんな料理を作るかを考えてから、買いたい食材を書き出します。もちろん家族からのリクエストの料理の食材も入れますが、予算内に収められるように、買いすぎに気をつけています」
買い物リストは付箋に書き写し、スマホに貼って持っていくと便利。リストを見ながら買えば買い忘れたり、余分な買い物も防げる。
【3】週に何度も買い物に出かけない
「食材は週末に1回、スーパーに行ってまとめ買い。立ち寄る機会が増えればおいしそうなものが目に入って、必要ないものを買ってしまうリスクも高まるので(笑)」
くぅちゃんは自転車で行ける範囲の安いスーパーを利用。時短を意識して基本は1つのお店で買い物がすむようにしている。1回に購入する分量は、家族4人が1週間で食べ切れる量が目安。肉類は1kgパックを買い、帰宅後すぐに用途別に小分け冷凍して、使いやすくしている。
【4】買い物に家族を連れていかない
買い物に行くときは、基本的に1人で行く。そのほうが買い物時間も短くできる。
「子どもを連れていくと、買う予定のない物を購入することが多くなります。もちろん親と一緒に買い物に行けば、子ども自身、学べることもあると思います。けれど、私はそこではないところで、買い物の仕方などを教えていけたら」
家族と一緒に行かなくても、献立を作成するときに、家族の食べたいものを聞いておけば問題はない。
【5】管理できないストックは増やさない
「買う予定のものが見切り品になっていたら買いますが、ほかの商品が見切り品になっていても安いからと買っておくことはしないです。買わないのがいちばん得なので。それに、買っても使わなかったことが多々あって」
調味料は特売品になりやすく、つい買ってしまう品だが、ストックの収納が増えてしまう。ストックが多くなると、探す手間が出てくるので、必要以上は買わない。
「頭の中で管理できるのは1か月に必要な分ぐらい。その量を1か月に1回、まとめ買いを」
シャンプーなどはストックがあると、“たくさん使っても平気”という気持ちが出てしまう。ストックしすぎないことで使いすぎも防止できる。
【6】買い物にお腹をすかせて行かない
お腹がいっぱいのときは、どんな食材を見ても、それほどおいしそうには見えないので、買いすぎ防止の効果を実感できる。
「私の経験からすると、お腹がすいているときに買い物に行くと、“家に帰ってからコレ食べようかな”と、お店の商品が何でもおいしそうに見えてしまうのです。買い物リストにない品物まで買ってしまったこともあります」
だから買い物に行くのは、食後のお腹がいっぱいのときにしようと決めているそう。
【7】常備品しか業務スーパーで買わない
最近はテレビや雑誌で安さが話題の業務スーパー。家の近くにあれば利用したいと思う人は多いはず。
「私もよく利用しています。いつも行くので、どれくらい安いかもわかっているから、商品を探すときも時短で買い物ができてうれしい」
特に冷凍食品は大容量で、コスパがよいので重宝している。野菜が高騰したときは、冷凍のポテトが活躍したそう。
「おいしかった食材は常備品として活用。次男はチキンナゲットが大好きなのですが家で揚げたほうがおいしいし、たくさん食べてもファストフードを買うより安くすみます。最近ハマっているのが、小籠包(ショーロンポー)とコーヒーゼリーの上にのせるホイップクリーム。子どもたちにも好評」
(1)冷凍ポテト 1kg
(2)冷凍チキンナゲット 500g
(3)冷凍マグロのたたき 250g
(4)焼きそば 1kg
(5)パンナコッタ 1kg
(6)タラチャンジャ 300g
(7)あらびきウインナー 320g
(8)ホイップクリーム 1kg
(9)冷凍小籠包 500g
【8】使い勝手のいい食材は冷蔵庫に切らさない
ウインナーやハムなどは簡単に調理して出せ、朝食や夕食、どのタイミングでも使いやすい。くぅちゃん宅では使い切れずに残ることはあまりないため、多めに買って常備するのに向いている。
また、忙しかったり体力的に厳しいときは、業務スーパーで購入している焼きそば1kg麺の出番。
「うちでは通常の3玉入りの焼きそば麺では足りないので、大容量の1kg入りの麺を使用。ホットプレートで肉と野菜を一緒に炒めて、家族でワイワイ食べられるのがいいですね」
【9】クレジットカードでポイ活「現金を使わない!」
「食材の買い物は、年会費無料の楽天カードですべて払っています。現金で買い物をしてもポイントはつきませんが、クレジットカードを使えばポイントに還元されます。たまったポイントは買い物に利用できるので、その分、現金をためることができます」
ポイントカードは2〜3枚に絞ることで、ポイントが貯まりやすくなる。
「Tポイントもためていて、ドラッグストアの『お客様感謝デー』のときに利用。ポイント数の1.5倍分の買い物ができるので。楽天カードのポイントはポイントを運用して増やしたり、楽天ペイで使ったりすれば、さらにポイントがつくのでお得感あり」
【10】お米はスーパーで買わない
ふるさと納税は、自分が応援したい自治体を選んで寄付をする。返礼品として、その地域の特産品などをもらえる魅力が。
「ふるさと納税を利用したときに、これまで返礼品として果物や肉、明太子などの嗜好品を選んでいました。でもいちばん、わが家向きなのはお米だと気がついて」
お米を選ぶ理由は、必需品ではあるが、店舗で買うとなると、食費に大きく影響する品物だから。ふるさと納税でお米を入手できれば、その分のお金で、好きなものを買うことができる。
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※インタビュー後編:『節約界の新カリスマ・くぅちゃん流、心に余裕が生まれる“時短”調理術で「自分が豊かだと感じる暮らしを実現」』
(取材・文/松澤ゆかり)