綿棒の棒の部分がやわらかいとさ、耳の穴に入れても、ぐにゅって曲がっちゃうから、なんかな~、棒は硬いほうがいいよね。あと先っちょがモコモコモコって団子を刺したみたいになっている綿棒、あれいいな~、でも憧れるのをやめましょう。どうも、つぶやきです。
大谷翔平選手のWBC優勝後のパフォーマンス、どう思った?
野球のWBCから1か月たったね。だからWBCの話はもういいっか! みんなも飽き飽きだよね。テレビのワイドショーも、こすりすぎてたしね。僕は東京ドームに日韓戦を見に行ったけど、その話はもういいっか! 日本のマウンドで投げるのはおそらく最後であろうダルビッシュ有選手を間近で見た話とか、もういいっか!
大谷翔平選手が決勝戦の試合前のミーティングで言った「憧れるのをやめましょう」は今年の流行語大賞取ると思うな。でもあれか、この言葉だけを切り取るとネガティブか~、どうだろ。昨年も「村上様」だったし2年連続、野球界からってのもないか~。
僕の生きがいは大谷選手だけ。大谷選手だけが楽しみで生きている。それ以外何にも楽しくない。そんな僕があえて言うんだけど、決勝戦の最後、マウンドに上がった大谷選手が世界最強バッターのマイク・トラウト選手から三振を取ってWBCで優勝した瞬間、大谷選手は帽子とグローブを投げたよね。どう思った? ん~わかる、わかるんだけどね~、僕の知る限り、そこんとこは誰も触れてないけど、引っかかった人もいると思うよ。でも、せっかく優勝したのに水差すなよってなるし、誰も言わなかったよね。
イチローさんは道具を大事にする。打った後もバットを置くようにして走る。試合後のグローブの手入れも入念にする。彼が少年に「野球がうまくなりたかったら、道具を大事にしなさい」と言っていたのを思い出したんだよね。道具を雑に扱っちゃいけないと。大谷選手は前方にグローブを投げたんだけど、じゃあ、喜びの表現としてグローブを真上に投げていたら、ギリセーフなのかな? あるよね、帽子とかを上に投げて歓喜する場面。先に述べたように僕は大谷選手が大好きだし、この大会でチームを鼓舞するパフォーマンスを積極的に見せてくれて、彼の人間味が出ていてよかったんだけど、最後なんか気になっちゃったんだよねって話とか、もういいっか! ずっとしてるけどね。
“音割れするポケットラジオ”で野球中継を聞くのが好きなんだよね〜
日本の野球も始まって、移動しながらラジオで中継を聞いているんだけど、スマホじゃなくて、ポケットラジオって言うの? おじさんが片耳だけにイヤホンして流しているような安いラジオ、あれで聞いてるの。スマホのきれいな音より、ポケットラジオの音割れする感じが、ラジオを聞いてるなって。ちゃんとチューニングを合わせても、次の日に聞くとちょっとズレてる感じ。ギザ10の側面みたいなところを指で回して微妙に調節するも音割れがひどくなり、最初のままで動かす必要なかったんじゃないのっていう一連のムダな動作も含め、ポケットラジオが好きなんだよね。
みんな言うよ、「スマホのアプリ『ラジコ』で聞けば、聞き逃しても後から聞けるし、何百円か払って『ラジコプレミアム』ってサービスに入れば全国のラジオ番組も聞けるよ」って。「そんなお金を払ってまで地方のラジオを聞かないよ」なんて言ってたらさ、4月から栃木でラジオの仕事が入っちゃってね。悪く言うもんじゃないね。
で、生放送だから毎週、宇都宮に通ってるの。駅から栃木放送まで歩くと30分くらいかかっちゃう。タクシーなんか使う身分じゃないしね。乗ったら乗ったで、料金が気になって、あとちょっとで目的地ってときに、メーターが上がりませんようにって死ぬほど拝むよね。ちなみに目の前のモニターは、ウザいので切る派です。駅前に駐まっている旅館の送迎バスとかにこっそり乗ってやろうかなとか、スケボー持参で、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオープニングみたいに車の後ろをつかんで、車から車へ移りながら行ってやろうかとかいろいろ考えたけど、自転車がいちばんという結論が出たの。しかも折り畳み自転車を持って東京から栃木まで移動するという壮大なプロジェクト。
それで、ちょっと大きめの自転車屋さんをたまたま見つけたから、見るだけと思って入ったの。見るだけ見るだけ買わないよってオーラを出しながらの物色。僕以外に客はいなかったのに、店員さんは誰も近寄ってこなかった。最初は1万円台のでいいよな~なんて思いながら、ふと横向いたら店員さんがこっちを見ている。反対向いたら、そこにも店員さんがいて、後ろ向いたら、そこにも。でも見るだけだよ買わないよと自分に言い聞かせながら、折り畳み自転車ってどれくらい重いんだろうって持って横向いたら、店員さんがさっきより近づいて来ている。後ろの店員さんも。野生の王国でライオンが四方からゆっくりとシマウマに近づく映像見たことあるでしょ? あれです。僕はヤバいと思いました。やられると。ホントに、迫ってくる感じが怖かったの。
だから先制攻撃してやれと思って「これ、折り畳んでみてもいいですか?」って、ひとりの店員さんに声をかけたら「どうぞどうぞ」って、3人の店員さんに一気に囲まれちゃって。僕、変な汗をかきながら「1万円台の安いのでいいんですけどね~」って。3人の店員さんは、自分の売り上げにしたいのか、交互にいろんな折り畳み自転車を紹介してくれた。折り畳んで18キロの商品とか、片手で持つと意外と重いんだよね。
これで駅の階段を上り下りするのはつらいから重さ10キロくらいの軽いやつ、ギア付きにしよう、ライトは別売り、砂除けも別売り、鍵も別売り、これを収納するでかいバッグ、防犯登録、自転車保険、消費税もろもろで6万円以上になっちゃった! イメージと違う! 1万円台でと思ってたのに! そもそも見るだけで買うつもりなんてなかったはずなのに! ラジコプレミアムの何百円をケチってるのに!
6万円以上した折り畳み自転車、出番はたった1回で終わったよね〜
買った帰り道、バッグの底を道路で擦って、さっそく穴が開きました。バッグの底が、ぺらっぺらなんです。そして初めての長距離移動。重量10キロとはいえ重く、バッグが大きくて持つところが紐で安定感もなく、想像以上に握力を使います。何より人込みでぶつけないように移動するのが大変。迷惑をかけるのがいちばん嫌なので、だいぶ神経を使って移動している途中に、持つところが破けました。まだ初回の行きの途中なのに。心が折れました。
次の週、僕の手に折り畳み自転車はありません。まさかの1回で諦めるという。っていうのも、駅にレンタル自転車屋さんがあることを知り、もう暑いし、カゴがないのでリュックを背負うと背中に汗かいちゃうから、冬になってからにしようと。しかも1日100円のレンタル自転車、安いでしょ。で、行ったら、今日は全部レンタル済みで1台もないって! そんな偶然ある? 人生泣き笑い。結局、往復1時間歩いたとさ。
イラストのタイトルは、「自転車のタイヤにカラーボール挟んでいる子いたね」です。タイヤの真ん中の芯に、輪っかのカラフルなたわしをつけている子もいたね。
(文・絵/つぶやきシロー)
【PROFILE】
つぶやきシロー ◎1971年3月10日、栃木県生まれ。お笑いタレントや俳優として活動するかたわら、2011年からは小説も執筆。2021年には、著書『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館刊)が安田顕主演で映画化された。2022年4月、新著『こんな人いるよねぇ~──本を読んでつぶやいた』(自由国民社刊)を上梓。また、2009年から公式Twitterでほぼ毎日「あるあるネタ」をつぶやき続けて大人気に。フォロワー数は103万人を超える。(2023年4月現在)
公式Twitter→@shiro_tsubuyaki