●千歩禅と沈黙タイム
ほかにも、試しやすい方法として「千歩禅」がある。
「千歩を数えながら歩きます。大地を踏みしめる足裏に意識を集中することが最大のポイント。初めから千歩は難しくても、徐々に歩数が伸びていくでしょう」
また、「沈黙タイム」もオススメだ。電車に乗り、知り合いに会わない遠くの喫茶店に1人で行く。
「週に1回でも、誰ともしゃべらない沈黙の時間をしっかりとるだけで、外からの刺激と離れて落ち着いた心を取り戻すことができますよ」
反応しないことで自分の人生を歩める
「ムダに反応しない心を持つ最大のメリットは、『自分の人生を生きることができる』ということです」と草薙和尚は言う。
「夫は夫、私は私。本来、自分の人生は他人に決められるものではなく、自分でつくるものです。他人に対するムダな反応をせず、自分のことに集中することで、きっと、自分の足で自分の人生を歩んでいくことができるようになるでしょう」
コロナ禍でさまざまな悩みが深まる今こそ、ムダに反応しない心を持つ意味は大きい。それによって、老後も心身の健康を保ちつつ、最高に納得できる“第二の人生”を長く歩んでいってほしい。
◎教えてくれたのは……僧侶・著述家 草薙龍瞬さん
興道乃里代表。中学中退後、16歳で家出、上京。大検(高認)を経て東大法学部卒業。インドで得度出家。著書に『反応しない練習』(KADOKAWA)ほか。
(取材・文/高宮宏之)
(週刊女性2021年8月3日号掲載)