駄菓子店は日本ならではの大切な文化
「駄菓子メーカー、問屋、駄菓子店があるからこそ、子どもたちは限られたお小遣いで気軽に買えるんです。大人が“懐かしい”という思いだけで買い占めるんじゃなくて、子どもたちや、長年愛されてきた商品を作り続けるメーカーや職人がいることにも目を向けて、駄菓子を大事にしてもらいたい」(土橋さん、以下同)
駄菓子は何十年も変わらない味を提供してきたことも特徴。親子2代、3代で同じ味を楽しむことができる。
「駄菓子店は親子をつなぐ懸け橋としても大切な場所。大人と子どもが思い出を共有できるんです」
それに、子どもたちと店主とのコミュニケーションは失われていないという。
「親には言えないことを打ち明けてくれる子もいます。中には、親になった子が自分の子どもを連れて来店してくれることも」(あらいさん)
駄菓子や駄菓子店は、海外からも注目されているという。
「コロナ前は駄菓子店を訪れるのを楽しみにしていた外国人旅行者は多く、人気も高まっています」(土橋さん)
では今後、駄菓子店はどう変わっていくのだろうか。
「駄菓子店はなくなっていくと思います。メーカーがなくなり、問屋がなくなれば同時に小売店もなくなります。でもどうやって残したらいいのか、私たちにもわからない」
あらいさんの反応は非常にシビアだ。一方の土橋さんは希望を捨ててはいない。
「私は変わり続けて残り続けていくと信じています。昭和スタイルの懐かしい駄菓子店は悲しいけどなくなるかもしれない。ですが、その志を持った新しい形態の駄菓子店が増え、残り続けていくと思います。駄菓子店は日本ならではの大切な文化です」
(取材・文/当山みどり)