水島さんの意外すぎる回答とは

 水島さんは、間髪入れずに、こう即答したのです。

「それはもう山田太郎ですね! ドカベンです!」

 まさか、自分の漫画のキャラクターの名前が出るとは!

 驚いて二の句がつげないアナウンサー。

 さらに水島さんは、こう続けました。

「何しろ、ドカベンは甲子園での通算打率が7割5分ですからね。あんなすごいバッターは、ほかにはいません」

 これには、テレビを見ていた私も「“ほかにはいない”もなにも、あなたが作ったキャラクターじゃありませんか!」と、心の中でツッコミました。

 しかし、驚くとともに「ここまで自分のキャラクターに感情移入しているのか」と、感動してしまったのです。

 水島さんは、こんなことをおっしゃっていたこともあります。

「(『ドカベン』の原稿を描いているとき)ネームでは三振するはずだった岩鬼が、ペン入れをしたらホームランを打ってしまって驚いた」

 漫画家や小説家は、ときに「描いているキャラクターが勝手に動き、勝手にしゃべる」という経験をすることがあるといいます。

 水島さんほど生き生きとしたキャラクターを描いていれば、そんな経験を何度もしておられたのではないでしょうか。

 ちなみに、水島先生は、「自分が惚れたキャラクター」として、ドカベンこと山田太郎、岩鬼正美(『ドカベン』)、藤村甲子園(『男どアホウ甲子園』)、岩田鉄五郎(『野球狂の詩』)、景浦安武(『あぶさん』)の5人を挙げています。

 作者自身が「惚れる」ほど魅力的なキャラクターたちだから、長年にわたって読者に愛され続けたのですね。

(文/西沢泰生)