今年で発売から50周年を迎えたグリコの『プッチンプリン』。長年のプッチンプリンファンの私が、誕生秘話と人気の秘密に迫る第1弾記事《『プッチンプリン』発売から50年、コロナ禍でも売上を伸ばした「変わらぬ味」とパッケージの秘密》をお届けしましたが、まだまだプッチンプリンへの愛と好奇心は止まりません。第2弾では、グリコの創業から始まり、プッチンプリンのリニューアルについてもお伝えします。
今回も『プッチンプリン』のマーケティングを担当する江崎グリコの柳澤香さんに詳しくお話をお聞きしました。
グリコ創業の地、佐賀は売上シェアも高い
──グリコと言えば、大阪道頓堀にある看板が有名ですが、大阪の方がグリコびいきというのはありますか?
「実は大阪よりも、佐賀県のシェアが高いです」
──佐賀には、プッチンプリンの工場もありましたね(注:第1弾参照)
「佐賀はグリコ創業の地で、創業者(江崎利一)の出身地でもあるんです。創業者が、当時捨てられていた牡蠣(かき)の煮汁にグリコーゲンという栄養素が含まれているのを知り、それをお菓子に入れようと思いついたのが始まりです。食べやすいお菓子で人々の病気を予防し、健康にしたい。その思いで始めたのが江崎グリコで、おまけ付きのキャラメルが最初の商品でした」
──『オフィスグリコ』など、面白い取り組みもされていますよね。
「創意工夫を大切にして、他社がやっていないものをやる。『セブンティーンアイス(自動販売機で買えるオリジナルアイス)』や『オフィスグリコ(置き菓子サービス)』は、販路も画期的なんです。セブンティーンアイスは外でアイスを食べるという発想がなかった時代に、自動販売機で拠点を広げました。オフィスグリコも、今では当たり前になっていますが、当時は職場でお菓子を食べることはよく思われていなかったんです。でも、みんな小腹が空いたり、お菓子を買いにコンビニに行くのが面倒と思っていた。そういうニーズに合わせたものを展開していくのがグリコの精神ですね」
──ちなみに、社内にもオフィスグリコはあるんですか?
「あります」
──社販とかもあったりしますか?
「開発途中のサンプル品はたまにあるけど、まれです。普通に買いますね」
──グリコに入社したら、グリコの商品が食べ放題かと思っていました(笑)。
「違うんですよ」
プリン人気を支えているのはスイーツ男子
──最近では、スイーツ男子と言う言葉もありますが、グリコの商品やプッチンプリンの購買層としてはどうですか?
「調査でも外せない客層と認識しています。男性はいい意味で保守的というか、スイーツに関して浮気しないんですよ(笑)」
──例えば、男性のプッチンプリンファンからはどういう反応が多いのですか?
「新商品が出ると、女性は新しいフレーバーなどいろんな味を試したいと思うのですが、男性の場合は“ずっと昔から食べているこの味が好き”っていう方が多いんです。プッチンプリンの味も“変えないでくれ”っていう方もいたり」
──オリジナルを大事にするのですね。
「調査したときにびっくりしたんですけれど、職場でもプッチンするって言われる方もいました。“プッチンってしないと絶対食べません”っていうふうにおっしゃっていて、プッチンプリン愛が強いかもしれないですね。男性の場合は、幼少期に食べていて、一度離れたけれど、大人になって戻ってきたという方も多いので、男性ファンは外せない層ですね」