プリンカテゴリーは3つ。プルン、焼き、あと1つは?
──容器以外にも開発でこだわった部分はありますか?
「ミルクのコクと食感にはかなりこだわっています。発売当時は西洋の文化が普及して、ケーキも流行していましたが、洋菓子店ではショートケーキよりも売れていたのがプリンだったそうです。でも油を使った味の濃いものは飽きるのも早い。だからこそ、プッチンプリンは飽きのこない味に一番意識を置きました。開発時にはシュークリームの味をお手本にしていたそうです」
──確かに、甘いのですがどこか懐かしい味がします。
「開発当時も、ずっと食べていただける味を目指していました。味の開発には苦戦し、一から原料メーカーに入ってもらって作ったそうです。プッチンプリンは、カスタードのようなミルクの味がするのですが、練乳やミルクのコクをうまく再現して味わいを作っています」
──プッチンプリン独特のプルンとした食感がありますよね。
「プッチンプリンはあの食感じゃないと、一番おいしい味を感じられないと思います。今、スーパーなどで売っているプリンはだいたい3つのカテゴリーに分けられるんです。プッチンプリンみたいなプルンとした食感のもの、焼きプリンと呼ばれる焼き系、あとはトロッとした食感のなめらか系。最近では、コンビニや喫茶店で硬めのプリンもはやってきていますが」
ステイホームがもたらした甘いもの需要
──プッチンプリンを製造している工場は、いくつあるのですか?
「グリコの工場は日本各地にあるのですが、プッチンプリンを作っている工場は全国で2つです。佐賀県佐賀市と東京都昭島市にあります。東日本で販売されているものはだいたい昭島工場で作られています」
──ちなみに、プッチンプリンの売上はどれくらいですか?
「2013年時点で、シリーズ累計販売個数が51億個です」
──51億個ですか!?
「2013年に、世界一売れているプリンとしてギネス世界記録に認定されたときの数字です。それ以降は、きちんとした数字を追いかけていないのですが、プッチンプリンのブランド自体はこの10年ずっと売上が伸びているんです」
──もしかしたら、2020年や2021年のステイホームの時期は特に売れましたか?
「コロナ禍の時期はプリンの売上の調子がよかったです。今もよいので、お客様も甘いものを求めているのだと思います。スイーツ自体が、なくてはならない存在になっている。他社の手作り系のスイーツも売れ行きがいいし、スイーツ市場全体の調子がいいです」
──以前よりも自宅でスイーツを食べる機会が増えたということでしょうか。
「そうですね。コロナウイルス感染拡大の影響で飲み会が減って、飲み屋で締めに食べていたデザートを家で食べるようになった方が多いみたいです。また、在宅ワークや在宅授業になったことなどで、単純に食べる機会が増えたというのもあります」
──その中でも、プッチンプリンが選ばれている理由はどうしてだと思いますか?
「商品自体が愛されているのが大きいですね。プッチンプリンは定期的に販促施策を行っていますが、ただ陳列棚に並べるだけではなく、季節のイベントに合わせて販促を行っています。ただおいしいだけではなくて楽しいっていうところも評価されているのではないかと思います」