ラッコは海の中でどうやって眠っているの?

 ラッコは海の中で暮らしていますが、海には波があり、流れがあります。そのまま浮かんで眠るとどこか遠くに流されてしまいそうですが、ラッコはどのようにして眠っているのでしょうか?

 実は野生のラッコには海の中で流されないよう、大きな海藻(ジャイアントケルプ)を体に巻き付けて眠る習性があります。体に海藻を巻き付けたラッコの姿はなんともキュート、布団を体に巻いた子どものようなかわいさに思わず頬がゆるんでしまいます。ちなみに水族館には大きな海藻がないため、水に流されないように仲間同士で手をつないで眠ることもあるそうです。

 なおラッコの手の内側には毛がなく、水に触れると体温を奪われやすいそう。そのため海面から手を出し、バンザイのようなポーズで眠る個体もいます。

海藻が浮かぶ海でゆったりと漂う親子のラッコ

日本でラッコが見られなくなるかもしれないって本当?

 とても寂しいことですが、本当です。実は現在、国内の水族館で飼育されているラッコは鳥羽水族館(三重県)に2頭、マリンワールド海の中道(福岡県)に1頭の、たったの3頭しかいないのです(残念ながら2022年5月10日、須磨海浜水族園で生まれ、鴨川シーワールドで飼育されていた高齢個体の“明日花”が死亡しました)。

 かつてラッコは毛皮を狙った乱獲や海洋汚染の影響を受け、絶滅が危惧されるほど個体数が減少してしまいました。その後さまざまな保護政策が行われた結果、今では野生のラッコの個体数は増加傾向にあるといわれています。しかし現在は動物保護の観点からラッコをはじめとした動物をアメリカから輸入することができず、新たな個体を導入すること自体がほぼ不可能な状況が続いているのです。

 そして国内で暮らす3頭のラッコはいずれも高齢のため、繁殖させることも難しいのが現状です。このように新規導入・繁殖ともに厳しい状況であることから、現在の3頭がいなくなると日本ではラッコが見られなくなる可能性が高いといわれています。

 ラッコが好きな方はもちろん、ラッコを見たことがないという人も、ぜひ今のうちに水族館のラッコたちに会いに行ってみてください。

(文/三日月影狼)