相手にお世話になったときに使うとよい言葉
続いてもう1つ。
「今回は、契約を結んでいただき、営業所一同、随喜(ずいき)の涙を流しております」
【問題】この「随喜の涙」とは、どんな感情をあらわす涙のことでしょうか?
「随喜」とは、もともとは仏教語です。
本来の意味は「他人の善行(よい行い)を見て、歓喜の心を生じる」「寺院に参拝する」「僧が仏事に参加する」など。
そこから転じて、この「随喜の涙」という慣用句が使われるようになったといいます。
では、そろそろ答えです。
【答え】随喜の涙とは、「心からありがたく思って流す涙」「喜びのあまり流す涙」のことです。簡単に言えば「うれし涙」ですね。
ですから、ビジネスの場で契約担当者が英断で大口の契約を結んでくれたときや、ライバル会社のオイシイ提案ではなく、自社の提案を選んでくれたときなどに使うのがビンゴです。
企業の契約担当者ともなれば、たぶん、この言葉をご存じのはず。
ただし、ちょっと大げさな表現なので、食事をおごってもらったくらいで、「先輩ありがとうございます。もう、随喜の涙です」なんて言うと、ちょっと皮肉っぽく聞こえてしまうので注意が必要です。
まあ、先輩がこの言葉を知らなければポカンとするだけとは思いますが……。
あと、間違っても「悔し涙」という意味で誤用しないでくださいね。
最近は、ビジネスの場で「ナンタラカンタラ」とか、すぐに横文字を使う人ばかりになりました。ちなみに、そういう人に、「そのナンタラカンタラって、日本語で言うとどういう意味?」って聞くと、うまく説明できないこともしばしば。
この横文字言葉、安易に年配の方に対して使うと、相手はそれだけで気分を害することがありますからご注意を。
横文字を多用する若者たちの中で1人だけ、「謦咳に接して」とか「随喜の涙です」などという言葉を使えば、それだけで目立つことができます。
(文/西沢泰生)