ライブシーンは圧巻! 音源は劇場用に再mix

──ロックバンド・FUZZY CONTROLのJUONさんが、hideさんにふんしていらっしゃいますが、どんなふうに演じてほしいとお話しされたのでしょうか。

JUONさんに限らず、実在する人物を演じていただいた方には、“実際のモデルの人に対してのリスペクトは忘れてはいけないけど、ものまねはしなくていいです”とお伝えしました。もちろん、自分自身の素のままでいい、というわけではないのですが。

 JUONさんは、雰囲気や骨格がhideさんに似ているんです。劇中の楽曲は、すべてhide with Spread Beaverの音を使っていますが、たとえ演奏をしているふりでも、ギターがうまくないとできない役なんです。キャスティング担当の人は、よく適任者を見つけたなぁと思います」

hideさんを演じるJUONさん (c)2022「TELLME」製作委員会

──今井翼さんを主演に抜てきした理由を教えてください。

裕士さんが実直で不器用なくらい真面目な方なので、そういった芝居ができて、裕士さんの雰囲気を持っている人ということで、お願いしました。今井さんも真面目過ぎるくらい真面目な方なので、役柄と一致していました

今井翼さん(左)と塚本監督 (c)2022「TELLME」製作委員会

──1998年に開催された「hide with Spread Beaver TOUR appear!! "1998 TRIBAL Ja,Zoo"」のライブシーンは、圧巻でした。ステージセットや照明も、当時のライブイメージに近づけるように撮影されているので、大きな映画館で観たら、本物さながらの体験ができるのではないでしょうか。

hideさんの実際の声、演奏を使っていますが、I.N.A.さんが立ち会いのもと、当時のライブ音源をマルチトラックから再mixし、新たな劇場用サラウンドmixを施したので、今まで聴いたことがないような(迫力のある)音になっています。臨場感があるので、劇場で観ていただけたら、一体感を味わえると思います。

 この映画の撮影をしたのは今年の1月の終わりから3月までだったのですが、本当は、前の年の同じ時期に行う予定だったんです。コロナが原因で延期になってしまったので、さらに1年間、バンド役のみなさんは、練習をしてくれていました。

 ライブシーンの撮影のときには、みんなそれぞれ、モデルになっている人の演奏の細かいところまでコピーできるようになっていました。これだけの期間があったからこそ、その人物像になり切れたのだと思います

圧巻のライブシーン (c)2022「TELLME」製作委員会

──映画には、hideさんの関連品を多数使われていますよね。

劇中に出てくるhideさんの車は、ご本人の愛車『ダイムラー ダブルシックス』を使用しました。運転できるよう修理をしていただいたんです。

 また、400点以上の写真や、1998年当時のJa,Zooライブグッズなどをお貸し出しいただきました(※『Ja,Zoo』はhideさんの3rdアルバムのタイトル)」

──細かいところまでこだわっているので、ファンの人には、映画を2度、3度と観て、楽しんでいただきたいですね。

もしかしたら、ファンの方のなかには、“hideさんを他の人が演じるなんて考えられない”と思う方もいるかもしれません。でも、hideさんに失礼のないように、という思いを込めて作りました。ぜひ、試しに観ていただきたいですし、感想を聞かせてほしいです