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「1日1フム」生活。- フムフムニュース -

人生100年時代。今や日本人のおよそ半分は50歳以上です。「NEOFIFTY」では、これから50代を迎える人にとって、その先にある老後が「終活の始まり」ではなく「新しい人生がもう一度始まる」と思えるように、素敵な生き方をしている人たちの言葉を紹介していきます。

芸能

甲本雅裕さんの“何もしない”人生観「不安とのつき合い方がわかってきた。50代からの人生には、希望しかない」

SNSでの感想
舞台『テーバスランド』に出演する甲本雅裕さん 撮影/齋藤周造
目次
  • 今までのどんな作品より逃げたかった
  • 役の中に素の自分だけは見えないように
  • 20代から早く50歳になりたかった
  • 日常にころがっている刺激がいちばん刺激的

 NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロインの父親を好演し、見るものに強烈な印象を残した俳優の甲本雅裕さん。さまざまな作品で、普通のサラリーマンから犯罪者まで善も悪も巧みに演じ分け、日常の中に存在するリアルな表現で観客を魅了する。

 俳優生活33年、幅広い役柄を演じ、活躍している甲本さんが、6月17日より上演中の舞台『テーバスランド』で二人芝居に初挑戦している。「久々の舞台で緊張している」という本作について、「役者」という天職への思い、56歳のいま大事にしている生き方……などについて語っていただきました。

今までのどんな作品より逃げたかった

──久しぶりに舞台に立たれるということですが、体力づくりなどはされるんですか?

いや、まったくしていないです。強いていうなら、じっとしていること(笑)。ジムにも行ったことがないですし、少し近所を散歩する程度で。今までも体力づくりのために何かをしたことはないですね。まあ、もうちょっとしたらヤバいなと思うかもしれないですけど(笑)。どうせ老いていくものだし、役者は流れのままでいいかなと

──久しぶりの舞台で、初の二人芝居への出演を決められた理由は?

実は、今までのどんな作品よりも一番逃げたかったんです。単純に台詞の多さにも驚きましたし、怖くなって。“これは逃げたい”って、純粋に思いましたね。でも、もう1人の自分が“おまえ、逃げるのか?”と、ハッキリ言ってきて。“じゃあ、やってやるよ”って感じで決めました(笑)」

 ◇  ◇  ◇

 舞台『テーバスランド』──モンテビデオ(ウルグアイ)で初演されて以降、ラテンアメリカ、ヨーロッパ諸国、インドでも上演され、世界中の観客の心をわしづかみにしてきた衝撃作。スペイン語圏で今、最も注目を集める劇作家の一人と言われるウルグアイ出身のセルヒオ・ブランコによる作で、2016年には英国演劇界で栄誉ある賞の一つ「オフ・ウエスト・エンド・シアター・アワード」で最優秀製作賞を受賞。今回が日本初上演となる。

甲本雅裕(右)と浜中文一が出演する舞台『テーバスランド』メインビジュアル

 登場人物は、甲本雅裕演じる劇作家のS、そして、浜中文一が演じ分ける受刑者マルティンと俳優フェデリコの3人。劇作家Sは、観客に向けて演劇作品『テーバスランド』を企画し、製作した経緯を回想しながら語る。現代のオイディプスを求めていた劇作家Sは、父親殺しの罪で終身刑に処せられていたマルティンという受刑者と出会い交流を重ねる。次第に心を開いてゆくマルティン。そして劇作家Sは彼のストーリーを上演するために俳優フェデリコを起用し、作品が組み立てられていく。たった二人で創り上げてゆく濃密な世界。その過程で見えてくる、マルティンとフェデリコの奇妙な共通点を通して、現実と虚構が交錯していく……。そして絶望の先に見える一筋の光。私ではない誰かと出会う必要性、私を見つめる誰かのおかげで自分自身が存在できていることを伝えてくれる、出会いの物語。

 ◇  ◇  ◇

──少し難しいテーマの作品なのかなという印象も受けますが、甲本さんが思われる舞台『テーバスランド』の魅力を教えていただけますでしょうか?

僕は、父親殺しというような衝撃的な部分はそれほど意識はしていないです。この作品で描かれていることは、誰にでもあること。生きていたら誰にでも訪れるようなこと。そういう思いですね。この作品はここが肝です、と紹介するのが難しい。何が始まるわけでも何か終わるわけでもない作品というか。人はみんな寝る前に、翌日何が起きるか誰と出会うかわからないし、もしくは昨日と同じような人にしか会わないかもしれないし、同じようなことしかしゃべらないかもしれないし。そんな日々の日常という捉え方をしながら稽古をしています。父親殺しとか言ってるけれど、もしかしたら自分の生活に置き換えてみると何か近しいものがあるかもしれない。観てくださる方には構えずにご覧いただきたいですね

──今作で演じる劇作家Sの役作りで大切にしたいことは?

「作家っぽさを意識しないように心がけています。脚本を読みながら感じたものをやっていく中で、“これがSなんだ”っていうものになっていればいいのかなと」

──役作りに対しては、どんなこだわりをお持ちですか?

「まず、さんざっぱら台本を読んで、あ~でもない、こ~でもないと考えますね。頭の中で、もうぐちゃぐちゃになるような状況にして、現場に入る前にそれを全部捨てられることが、一番いいことかなって。要するに、芝居は自分が考えているようなものじゃないよっていうことを感じられるのが、人と共演するってことなので。自分が考えてきたことを捨てられたら、一番楽しい方向に向かえるというか。もちろん実際には全部を捨てられるわけじゃないんですよ。自分がやりたいことも推したいこともすごくあるので。でも、芝居を続けてきている道中で、ある時からどれだけ捨てられるかってことも、考えるようになってきました

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