終わってから “ごめんね”って(笑)
出身は兵庫県。上京&デビューのきっかけとなったのは、コミック雑誌の『Sho-comi』(小学館)が主催する「Sho-comiプリンセスオーディション2014」でグランプリを獲得したこと。
──オーディションにはご自分で応募したんですか?
「はい。雑誌の『Sho-comi』で。当時、マンガをいっぱい読むのも集めるのも好きで。『メイちゃんの執事』というマンガが20巻くらいあって、そろそろお小遣いで集めるのは限界かなっと思っていたら、図書カードもらえるよ、みたいに書いてあるのを見つけて」
──入口はそっちなんですか!
「マンガを集めたいという気持ちに逆えず(笑)。私もなんで自分が選ばれたのかわからないんですけど(笑)」
──グランプリが中学3年(14歳)のときで、デビューは高校1年。
「オーディションの流れで今のアミューズ(芸能事務所)に入ることになりました。
それまで特に女優やモデルさんになりたいとかもなかったんですけど、月に2回くらいお芝居とダンスのレッスンを受けているうちに、“お芝居っていいな”と思ったのがきっかけです」
──縁ですね。もしかしたらガールズグループとかに入っていたかも。
「私、ダンスすごい苦手なんです(笑)。
わりと軽い気持ちで東京に来たのもあるんですけど、高校の3年間は芸能のコースに行っていたので周りに仕事している人がいて、“私ももうちょっと仕事したいな”と思いながら生活していて。当時なりの焦りも、けっこうありました」
最初に注目を集めたのは映画『3月のライオン 後編』(大友啓史監督/2017年公開)での演技。クラスでいじめの首謀者となる生徒役だったが、中学校側に露見しても反省するそぶりを見せず、ふてぶてしい態度をとり続ける。
「映画でちゃんと役をいただいたのが『3月のライオン』が初めてで、しかもオーディションでいただいた役なので、頑張ろうと思いました。
いじめの演技は、後ろめたさがあると振り切れないというか、受けている側にも失礼かなと思って、もう仕方ない! と思ってやりました。で、終わってから “ごめんね”って(笑)」
──相手は清原果耶さんでした。
「はい。あの時は自分の芝居というよりは、神木(隆之介)さんとか清原果耶さんの芝居がすごくて、“こんなにすごい人がいるんだ”っていう驚きが大きかったです。そっちのほうが覚えています」
それから映画やドラマへの出演を重ね、作品ごとに爪痕を残してきた。
映画『見えない目撃者』では犯人に拉致監禁される女子高生。『君が世界のはじまり』では退屈な高校生活をツレと一緒にやりすごし、『あの頃。』ではオタク青年・松坂桃李を翻弄(ほんろう)する大学生。
香取慎吾主演のドラマ『アノニマス〜警視庁“指殺人”対策室〜』では、第1話ゲストで登場し重要な証言をするモデル役など。
──ドラマにしても、映画にしても、それぞれ10作品以上に出演しています。
「自分でも少し手応えを感じる時もあれば、がっかりする時もあって。特に映画だと撮影してから公開されるまで、見るまでにタイムラグがあるので、大体がっかりします。
写っているのは “過去の自分”って言ったらあれですけど、その時よりは一歩先を行ってる自分が、当時の作品を見ているので……。あとで見ると、はーっ(ため息)てなることが多いです」
──そんな中で女優を続けているのは、演じることが楽しいから?
「楽しいというよりは、全然できないなと思うことのほうが多いので、そこで逆に “じゃあ、やる!”というか。できないことを乗り越えていく楽しさみたいのが大きいかもしれないです。
もちろんお芝居そのものが楽しい時もありますけど、いろいろ悩んだりして答えを見つけた時が楽しいとか。そういう感じかもしれないです」
──答えは簡単には見つからない……。
「そうですね。答えても答えても、また難題がやって来るみたいな……終わりがないからいいのかな」
──この先の目標は?
「ずっと言ってるのは朝ドラに出たい、と。
大学を卒業して、学生生活が終わって、この仕事(俳優)一本で行くんだ、踏ん張りどころだなと思っています」