好きな芸人さんは「俺がいちばん面白い」と思っているタイプ

芸人さんらとZOOM越しに話す児島さん(写真上段中央) 写真/児島さん提供

──なるほど。長く現場にいても決して馴れ合っていないのがかっこいいです。児島さんが好きな芸人さんというか、応援したくなる芸人さんってどんなタイプなんですか?

『俺がいちばん面白い』って思っている芸人さんが好きです。『おふざけをして、お客さんを笑わせないと仕事がない』っていう厳しい世界だからこそ、誰よりも面白いと思わないといけない。本気さがあるから、そこにドラマが生まれるし、芸人としてのかっこよさが出てくるんだと思います。

 最近は『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のインタビューで目標を聞かれて、“準々決勝進出です”って答える若手も多いんです。“いや、そこは優勝でしょ”と思いますね。上位100組で甘んじてるようではダメじゃないかと」

──「芸人さんの世界の厳しさ」は、児島さん自身が会社に属したことがないからこそわかる部分でもありますよね。

「そうですね。スタッフ、演者ともに続けるも辞めるも自己責任ですからね。でも芸人さんは、“辞めたら自分には何も残らない”という感覚があるから続けているんだと思います。卓球の福原愛ちゃんみたいな……。泣きながらでもラリーを続けるみたいな感じというか」

──「自分はお笑いでしか生きられないんだ」という泥臭さも芸人さんならではのかっこよさですよね。

「芸人さんのなかにも、“もうこの人は生き方そのものが芸人だな”という人もいれば、“職業としてお金を稼ぎたいからやっている”という人もいます。私はどうしても現場育ちなので、前者のほうが共感できますし、やっぱり応援したくなりますね

──これまでの児島さんの人生をお伺いすると、その気持ちがよく伝わります。

「数年前に、“同じおふざけでもYouTuberのほうがもうかるじゃん”っていう時代があったんです。そんななかで“舞台に可能性を感じてくれる人”は応援していたいですね。

 もし、“お笑いライブに出ていても売れないじゃん”と言われるような状況になってしまったら、それこそ、“YouTuberのほうが売れるじゃん”ってなってしまう。だから『過去に舞台から出て売れていった芸人さんの話を伝える』のも私の役目だと思っていますね」

──客前での雰囲気や熱量は、お笑いライブを経験していないとわからないですよね。

「そうなんですよ。例えば今では、“バナナマンさんに憧れている”って言う若手の芸人さんに、“バナナマンさんのライブ観たことある?”って聞いたら、“テレビでしか観たことない”って返ってくることもあります。私としては、それでいいの?って。やっぱり客前で一発勝負の舞台とテレビやYouTubeとでは、緊張感も、間の取り方も違います。

 ステージに立つ芸人さんがいる限りは『舞台を知ることの大事さ』を伝えたいですね