挑戦者の「お食事代」はタダ?

 ウルトラクイズから帰国して、人からよく聞かれた質問に、こんなものがありました。

「挑戦者たちって、アメリカを横断する間、宿泊と食事は無料だったの?」

 はい。宿泊代は番組持ちでした。

 そして、食費は、自由時間に挑戦者が外出して食べる場合は自腹。挑戦者が集まって食事をするときは、飲み物以外はタダでした。

 飲み物とは、食事のときに飲むビールとかジュースですね。飲み物もタダだと、「こりゃー、いいや」と、ガンガン飲んじゃう挑戦者がいないとも限りません。ベロンベロンになるまで飲んで、次の日の本番で二日酔いのままクイズをやられたらシャレになりませんから、「飲み物代は自前」も納得です。

 真相は知りませんが、かつて、そんな挑戦者がいて、それ以来、飲み物代は自前になったのかも……。

 現地のレストランに行ったとき、印象に残っているのは、すぐそばで食事をしているアメリカ人との「胃袋の違い」でした。

 日本人なら5人くらいで分けてもおなかいっぱいになりそうな、山盛りのフライドチキンを、おじさんが1人でビールを飲みながら見る見る平らげてしまうのを目撃したこともありました。全員とはいいませんが、『ギャル曽根』並みの食べっぷりをしている方を何人も見かけました。

 ウルトラクイズでは、本番前の日の夕食は「明日負けて帰国する誰かとの、最後の晩餐(ばんさん)」です。食事をしながら、ふと、「この中の誰かとは、明日はもうお別れなんだ」と思うことがありました。

 以前にもお伝えしたとおり、私の参加した第10回ウルトラクイズは、アトランタで挑戦者を北米組と南米組に分けました。そのアトランタでの「お別れクイズ」前夜の夕食は、広い部屋で全員が同じ長テーブルを囲むことができる和食レストランでの食事でした。

 たしか、司会の福留功男さんも、珍しく同席してくださっていたと思います。

 実はあの日の夕食は、明日のクイズでメンバーが半々に分かれることを知っていた番組スタッフが、少し豪華な「最後の晩餐」を用意してくれたのかもしれない……と、あとになって思いました。

(文/西沢泰生)