アプリで結婚したいけれど、あと1年くらいでやめたい
──第一印象って、やっぱり重要なのですね。こじらせた人は置いておいて、誠実そうだけれどコミュニケーションが苦手なタイプと比べて、マッチングアプリに多いとされる、遊び人風の男性はどうでしょうか。
「一時期、アプリで出会った遊び人風のイケメンを本気にさせることにハマっていた時期もありますね(笑)」
──例えば、どのようにしたら、相手がこちらに興味を持つのでしょうか。
「仲よくなったあとに、“君みたいなタイプは、私がすぐ夢中になるって思っているでしょう。でも、追わないから”っていう雰囲気を出すんです。相手からのメッセージにも、返信を遅らせるとか、“私は短い恋を楽しむタイプだから。別に、ほかにもいるし”って感じで返すんですよ」
──いわゆる小悪魔系ですね。
「そうです。悪女みたいなのに憧れていたときがあって。そうしたら、複数人から“なんで俺みたいなモテるタイプを振るんだよ”って、逆に好かれたんですよ。“4回戦男”って名づけていた有名私大卒の男性は、“俺の遺伝子は優秀だよ”って送ってきました(笑)。さらに、“真保は追ってこないんだね。俺、こんなにかっこいいのに”って言ってきたので、“私は誰のものにもなりません”って返しました。余裕のある女を演じるのは、むちゃくちゃ楽しかったですね」
──マッチングアプリを使うことに対して、周りからなにか言われたことはありますか?
「“必死に婚活アプリをやるくらいなら、同じ職業の芸人さんがいいんじゃない”って言われることがあるんですよ。でも、ここまで頑張ってアプリやってきたのに、結果が出せないで終わるのは悔しいんです。公務員と女芸人っていう組み合わせもあまり見ないですし(笑)。個人的には芸人さんよりも、スーツを着ている素朴なサラリーマンが好みですね」
──今後も、マッチングアプリを使い続けますか?
「ここまできたら、マッチングアプリで出会った相手と絶対に結婚したいんですが、無期限ではなく、“アプリは、あと1年くらいでやめる”っていう目標があるんですよ。無事に彼氏ができてアプリをやめたら、心理学を学びたくて。できれば、心理学の資格を取ろうと思ってます。あとは経験を生かして婚活アドバイザーとか、究極は、マッチングアプリを作ってみたいですね(笑)。
マッチングアプリをがっつりやってみてわかったんですが、男も女も、みんな承認欲求のかたまりだし、そこには“心の闇”みたいなものも、うっすらと感じますね。でも、時にはその闇に惹かれてしまう。人間臭いんですよね。マッチングアプリって」
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これまで、マッチングアプリに否定的なイメージがあった人もいるのではないでしょうか。小出さんのように、アプリを通して100人以上の人と会ってみた方の話を聞いてみたら、当初のイメージも少し変化したかもしれません。出会いのきっかけはアプリかもしれませんが、その先にあるのは、めくるめく人間模様。時には、ひとつのアプリから、これまでになかった出会いが広がっていくのかもしれません。
(取材・文/池守りぜね)
【PROFILE】
小出真保(こいで・まほ) ◎長野県上田市出身。太田プロダクション所属のモノマネ芸人。『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』(フジテレビ系)での優勝経験あり。近年はナレーションやコラム執筆も積極的に行うなど、活躍の場を広げるかたわら、マッチングアプリを駆使し、約2年で100人以上の男性と会い、真実の愛を探している。