まずは基本の構えと、パンチを打つ時のフォームの練習。竹村さんいわく、「肩幅に足を開いて、右足を半歩下げます。それと同じ方向に身体を斜めにして、さらに右肩を引いてあげる」。
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鏡に映る姿を眺めてみると、まるでキックボクシングの選手のような気分に。しかし、浮かれている間にレッスンは続きます。
「身体が正面を向いているとおなかを打たれるんです。(右利きの人が)右で打つパンチをストレート、左で打つのをジャブといいます。ジャブはダメージを与えるというより、距離を測ったりするために打ちます」(竹村さん)
そうです。試合ならば1秒でも気を許すと相手のパンチが飛んでくる。そんなスリリングな競技なのがキックボクシングなのです。まだ打つ前の段階ですが、竹村さんの指導を耳で聞いていると頭の中でいろいろな動作がこんがらがってきます。
「拳を握る時には、親指を外側に出します。親指を握って打つと、最悪、親指が折れたりしちゃうので……」(竹村さん)
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竹村さんの軽妙な口調とは裏腹に、気が抜けない状況が続きます。「打つ時は、げんこつした時の人差し指と中指の関節部分、ナックルパート。ここの骨で当ててください! 」
実にわかりやすい指導で、少しずつフォームをマスターしていく私たち。
「相手にパンチを当てる時に、手首をまっすぐにせずに、ナックルパートが当たるように拳を内側に入れてあげる。打つ時以外の基本的な構えの時は手は開いておいて、こめかみを隠す。打つ瞬間だけ拳にして、当たったら手を開く」(竹村さん)
これまでシャドーボクシングをしたことはなかったですが、こんなにも細かな動作が組み合わさっているとは思いもよりませんでした。構えのポーズでずっと腕を上げた状態でいるのが、意外ときつかった。
伸びのいいストレートパンチを打つ方法
上半身のフォームが決まったら、足の動作です。
「足は軽く曲げてジャブを打っていく。左手と左足を同時に出す。そして右足を左足の横に出す。そして手を引く。そのまま前に進む」
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いよいよ本格的な雰囲気のフォームで打つことに。自分では気持ちよくパンチを打てたつもりでも、後で写真を見たら思いっきり右手のガードが下がっていました。これでは相手に打たれてしまいます……。
編集Kも、まっすぐに進んでいるつもりがなぜか右の窓があるほうに移動。竹村さんが「あれ? 窓から帰ろうとしているみたいですね(笑)」と言い、和やかな雰囲気に。初歩的な動作でも意外と難しいようです。
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右ストレートを打つ時には、実は腕ではなく骨盤が重要だそう。
「骨盤を回すのに重要なのが後ろ足。つま先が立ったままの状態だと、ブレーキになってしまって骨盤が回りにくい。かかとを外側を出すように回してあげると上半身の可動域が大きくなってパンチも伸びます」
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さらに足を動かす時は母指球(ぼしきゅう:親指の付け根の下の丸みを帯びた部分)を中心に回すことが大切なんだそう。「母指球」という言葉は初めて聞きましたし、普段の生活で意識したことはありませんでした。
編集Hが「母指球で立つのは難しい。すごく力がいります」と質問してみると、竹村さんは「母指球を意識して歩くようになると、それがだんだんと自然になっていきますよ」とアドバイス。トレーナーにわからないことを質問するのが上達のコツかもしれません。
次第に身体が慣れてくると、3人ともジャブ、右ストレートの一連のフォームがそろうようになりました。鏡張りの前で自分の姿を見るのもジムならではと言えます。
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