テッパンの“使えるフレーズ”と、使うときの注意点は?

 壇蜜さんも高田さんも、なかなか面白いフレーズですが、まさか会社の上司や同僚に「今晩、除霊するので帰ります」とか「明日、ニューヨーク出張なんで」なんて言ったら、ちょっとアブナイ人だと思われてしまいます。

 では、なんと言って断るのが、いちばん無難で、カドが立たないでしょう? 私のこれまでの経験上、テッパンは、次のひと言です。

「誘ってくださってありがとうございます。すごく行きたいのですが、先約が入っているので申し訳ありませんが今日は失礼します」

──ポイントは3つ。
○“誘ってくれたことへのお礼”を言うこと。
○「本当は行きたいけど、今日は……」と、いかにも残念そうに伝えること。
○余計なウソをつかないこと。

 例えば、「田舎の母が出てきているんで」とか「友人の披露宴の出しものの相談で」「10年ぶりの同窓会なんで」など、ヘタなウソは墓穴を掘ります。

 ウソをついている人は、聞かれもしないのに理由を自分から言うもの。ウソは言い方や表情で相手にバレてしまいます。

 余計なことを言わずに「先約があるんで」というひと言で済ますのが“ミソ”。「先約があって」というフレーズのよいところは、ウソではないということです。たとえ、帰ってからドラマを見たいと思っている場合でも、“先約がある”のは確かですから。

 それに最近は、無理に誘うとパワハラなんて言われかねないし、プライベートに踏み込まないという雰囲気があるので、「先約がある」と言われたら、相手もあっさり引き下がるでしょう。

 もしも「先約って何?」としつこく聞いてきたら、「プライベートでちょっと」でオーケー。“プライベートでドラマを見たい”のですから、これだってウソは言っていません。

 それに“プライベート”という言葉には、「これ以上は聞かないで」というニュアンスが含まれているのもいい。それでもなお、しつこく聞いてくるような相手とは、本気で距離を置きましょう。

 えっ? 「ちょっと良心が痛む」ですって?

 そういう方は、無理に帰っても楽しくないでしょうから、誘いに乗ればいい。でも、そもそも、当日、急に誘ってくるほうが悪いのです。それに、あなたが行かなければ、相手の標的は別の人に向かうだけのこと。行きたくなければ、テッパンフレーズであっさりとお断りすれば、相手は気を悪くしません。

 なお、「急な誘いをされないようにする」ベストな方法は、普段から「定時で帰るキャラクター」とか「飲み会に出ないキャラクター」であること、を周りに定着させておくことです。

 そういうキャラクターを周知しておけば、当日に誘いが入ることがなくなりますし、たまに誘いに乗るだけで、「普段は参加しないのに悪いね」なんて、逆に感謝されるようになるかもしれません。

(文/西沢泰生)