まじめすぎる男性と、モラハラ男の存在

明日香「その彼と別れてアプリに登録したばかりのころは、“いいね!” がつくとチヤホヤされてる気分になれて、うれしかったんです。つきあっていたのかというと微妙ですけど、けっこう仲よくなった男性も、さっき話した “つきあった2人” とは別に何人かいました」

二村「明日香さんの相手を見る目が厳しくなってしまったということも、最初に話されていましたが」

明日香「そうなんです。婚活のサイトになると、まじめなんだけど感情表現がなんだかロボットみたいな人だったり、2回目、3回目と会うのに自分からはまったく意見を言わない人だったり……。一見、何か欠点があるわけではないし、人当たりも悪くはないって思うんですけど、“どうしてそういう行動になっちゃうんだろう” って人ばかりだったんですよ

二村「例えば、どんなことがありました? 」

明日香「有名な企業で中間管理職をされている人だったんですけど、必ずアンパンマンのスタンプばかりのLINEを送ってくるんです。“なんで毎回アンパンマンなんですか?” って聞くと、部下とのコミュニケーションで自分では面白いつもりのスタンプを送ったら “意味がわからなくて困りました” って言われるとか、前にマッチングした婚活目当ての女性から “このスタンプはセクハラになります” ってダメ出しされてフラれたことがあって、自分のセンスに自信がないって言うんですよ

 それで、どのスタンプなら嫌われないのか周りに聞いたら、アンパンマンなら大丈夫って言われたから、それしか使わないようにしてるって言うんです。お給料もいいし、頼りがいもありそうな人だったのに……」

二村「それで会うのをやめたんですか?」

明日香「いえ、“私はたとえ、多少エッチなスタンプでもセクハラとか言いませんから、ご心配なく” って冗談で言っちゃったんです。そしたら逆に引かれたみたいで、“明日香さん、積極的な方なんですね……” って言われて、向こうから連絡がこなくなりました」

二村「婚活や出会い系では、いろんな経験ができますね」

明日香「(笑)。二村さんはご自身のインタビュー記事(「理想の相手と出会えない」「“心の穴”が満たされない」婚活女子の悩みを“モテ本”の著者にぶつけてみたら)で、ちょっと人柄的に物足りない男性でも、つきあいながら女が自分好みに教育していけばいいんじゃないかっておっしゃっていましたけど、まじめだけど話が噛(か)み合わない男性を育てるのは、なかなか疲れるだろうなあって思います

二村「そうですね。それに考えてみれば、教育を受けてくれるのは先方がこちらに恋をしてる場合だけですよね。相手が “結婚はしたいけど、そもそも他人を好きになるということがよくわかっていない” という男性だと、こちらのやってほしいことを教えるもクソもないですね」

明日香「最近では “つまらない男性と話すのはもうしんどい。なんでこんなに頑張ってまで結婚しなければならないんだっけ” って感じるようになっちゃって」

──それ以外にも、男性のどういう部分が気になったりしましたか?

明日香なんだか私より上に立とうとする感じの人が何人かいて、モラハラ予備軍だったのかなと。前の前にちょっとつきあった人も、“女性はこうしたほうがいい” みたいに押しつけてくる人だったんです。結婚するなら、フラットに向き合ってくれる人がいいなって感じています。あとは、ちゃんと “うれしい” とか “おいしい” とか、気持ちを口に出してくれる人がいいです

二村「ご飯を食べてるときとか、いま一緒に体験していることに対するポジティブな感情を自然に伝えてもらえると、こちらは安心するものですよね。デートで食事をしたり映画を観たりすることになってるのは、そこを見るためなんです。それぞれの感情や感覚の表し方が、お互いにとって心地いいかどうか。でも恋愛が苦手な男性って、そもそも感情を伝える方法を習得しないまま大人になってしまってる。デートコースをどうするか、どんな店に連れて行けばいいのかといったマニュアルより、そっちのほうがよっぽど大事なことなんですけどね

*本日の二村格言*

(夫婦がいつの間にかすれ違い、セックスレスになってしまうのは)
「せっかく愛し合ってるカップルが一緒に暮らす制度におけるシステム上の、というか、現代の生活がはらむ “バグ” じゃないか」

 今回に続く恋愛相談の第2弾では、二村さんとの対話を続けるなかで、明日香さんの心に変化が……!

(取材・文/池守りぜね、監修/二村ヒトシ)


【PROFILE】
二村ヒトシ(にむら・ひとし) ◎1964年、六本木生まれ。慶應義塾幼稚舎卒、慶應義塾大学文学部中退。AV男優を経て、'97年からAV監督。現在では定番になっているエロの演出を数多く創案した。著書に『すべてはモテるためである』 『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(いずれもイースト・プレス)、共著に『オトコのカラダはキモチいい』(ダ・ヴィンチブックス)、『どうすれば愛しあえるの ──幸せな性愛のヒント──』(KKベストセラーズ)、『欲望会議』(角川ソフィア文庫)など。
本人Twitter→@nimurahitoshi