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たかまつなながゆく“本音のその先”

時事YouTuberのたかまつななが、政治や社会問題について丁寧に取材。さらに、挫折やいじめ、闘病、人間関係における葛藤など、大きな壁にぶち当たった著名人らにインタビューし、彼らの胸の奥にある「本音」の、さらにその先まで深掘りします──。

暮らし

“エシカルファッション”をご存じですか? 古着しか着ない21歳の環境活動家が説く「今日の服から考える環境問題」

SNSでの感想
たかまつなな(写真左)とトルメイアさん(同右)。イギリスにて撮影。鮮やかな赤色がトルメイアさんにとてもお似合い!
目次
  • アートを通じて気候変動問題などを伝えたい
  • 服は古着や中古品を。とにかく買わないことが近道
  • 環境配慮をうたう「グリーンウォッシュ」に危機感
  • どんな人でも、環境を守れるような役割がある
  • 環境問題は未来の自分ごとだと知ってほしい

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(19)が2022年9月、ウクライナ戦争と電力価格の高騰を受け、「危機意識が欠けている。環境危機を遠い未来の脅威と扱い、今ここにいる人々には何ら影響がないものとしているが、実際は非常に大きな影響を与えている」などと提言したことをきっかけに、世界中の若者のあいだで、環境問題への関心が高まっている。イギリスの環境活動家兼アーティストのトルメイア・グレゴリーさん(22)も、そのひとり。自身の活動や生き方について、時事YouTuberで笑下村塾代表のたかまつななが、現地で話を聞きました。

 

アートを通じて気候変動問題などを伝えたい

──トルメイアさんは現在、どのような活動を?

「環境活動家としては、野外での抗議活動のほか、地元の環境保護団体と協力して、野菜のプランターを設置したり、地域と交流したり、無料の洋服店を開いたりしています。この活動を通じて、人々が気候変動(※)について話すとか、考えるきっかけになればと思っています。

 アーティストとしては、アートを通じて気候危機、特に、気候変動に対して抱く感情を表現しています。時にはとても悲しく、時にはとても腹立たしい感情を……。

 GIPHY(短いループビデオを検索&シェアできるサービス)で作成したギフトステッカーが人気で、InstagramなどのSNSで環境問題に関するメッセージを共有して楽しんでいます。最近では、絵画や有形作品なども手がけているんです。今年の目標は、アート作品を通して気候変動の話題に関わってもらえるような展示会などを開くことです

(※ 気温および気象パターンの長期的な変化を指す。1800年代以降は主に人間活動が気候変動を引き起こしており、その主な原因は石炭、石油、ガスなど化石燃料の燃焼。現在見られる気候変動の影響には、深刻な干ばつ、水不足、大規模火災、海面上昇、洪水、極地の氷の融解、壊滅的な暴風雨、生物多様性の減少などが挙げられ、人々の生活に深刻な影響を及ぼすとされている)

──エシカルファッション(※)の活動をしている理由は?

(※ 直訳すると、倫理的・道徳的なファッション。かみくだくと、人と地球にやさしいファッション。素材の選定、生産、販売までのプロセスで人と地球環境に配慮して作られたファッションを指し、近年ではファッション業界のトレンド・キーワードにもなっている)

「昔からファッションが大好きで、ファッションブログやウェブサイトを立ち上げたり、ファッション業界とその仕組みについて学んだりしてきました。そのなかで、'13年にバングラデシュで起こったラナ・プラザ衣料品工場の崩壊事故で1000人以上の従業員が亡くなったことを知ったんです。それがきっかけで、自分の着ている服がどこから来て、どのように作られているのか、なぜ自分がエシカルファッションについて関心があるのか、地球だけでなく私たちの服を作っている人たちを守ることがなぜ重要なのかなどを考え、行動するようになりました

──環境問題やファッション全般については、何から影響を?

「ファッションや気候危機、気候変動に関することは、環境保護団体『Extinction Rebellion』が出している本などから学びました。ほかにファッションに興味を持つようになったきっかけは、ファッションとその仕組みについて書かれたルーシー・シーグルの『To Die For』、ラナ・プラザ衣料品工場の崩壊を追ったドキュメンタリー『The True Cost』ですね」

インタビューに答えるトルメイアさん。優しげな表情がのぞく

服は古着や中古品を。とにかく買わないことが近道

──トルメイアさんが服を選ぶ際のポイントは?

「基本的に、古着や中古の商品しか買わなくなりました。それが、いちばんサステナブル(持続可能)な方法のひとつだからです。

 以前は、エシカルブランドや、従業員に高いお給料を払っている会社、持続可能な素材を使っている会社などに注目していました。でも私が思うに、最大の問題は、私たちがどれだけ買い、企業がどれだけ売っているかということです。生産・消費量を抑えないことには始まらない。だから中古品だけ、さらには自分が本当に気に入ったものだけを買うようにしています。

 たまに新しい服を入手するとしたら、たいてい小さな独立ブランドのものですね。最近はBlack Lodge Pressという過激なアーティストが出しているブランドのTシャツを買いました。個性的なデザインで、気候問題に配慮しているアーティストをサポートしている商品だと、“欲しいな”と思います

──周りの人はどうですか?

「私がオンラインで積極的に活動し始めたら、多くの友人も同じことをするようになりました。みんなサステナブルな買い物をすることに、とても賛同してくれています。ただ、時間がない人、お金がない人、家族の面倒を見なければならない人などには、ちょっと難しいかもしれませんね。でも、私が情報発信したものから、多くを学んでもらえているのではないでしょうか

──ファッションの楽しみに制限が生まれたりしないのでしょうか。

「そうは思いません。量やブランドなどの制限があると、必要なものが明確になるし、すでに持っているものを使ってやりくりするので、よりクリエイティブになれると思うんです。それに、環境に対するコスト(※)を知っていると、その商品についてもっと考えるようになります

(※ 環境省によると、服1着あたりのCO2排出量は約25.5キロで、500ミリのペットボトル約255本製造分にあたる。水の消費量は約2300リットルで、これは浴槽約11杯分。たった1着を作るためにも、環境に対してさまざまな負担がかかっている)

──ファッションに興味のない人や情報が少ない人は、エシカルファッションについてどのように取り組んでいけばいいと思いますか?

「3つあると思います。まず1つ目は、知識を身につけることです。その問題について学ぶことで、ファッション業界に存在する本当の大きな課題に気づくことができ、変化を起こしやすくなります。

 2つ目は、シンプルに買う量を減らすこと。

 そして3つ目は、ファッションに関連する地域社会の活動に参加することです。私が地元で行っているのはフリーショップです。必要とする方に無料で商品を提供することで、持続可能な代替品を購入する余裕がない人々にとっても、エシカルファッションがずっと身近なものになります

ふたりで、トルメイアさんがおすすめするイギリスの古着店へ
互いに似合うファッショングッズを探して、楽しいひととき
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