環境配慮をうたう「グリーンウォッシュ」に危機感

──ファッションでもサスティナビリティがトレンドになってきていますが、このことをどう思いますか?

「トレンドになりつつあるのなら、それは、すばらしいことだと思います。

 一方で、企業が実際よりも環境に配慮しているように見せかける、“グリーンウォッシュ”の問題が出てきます。その一例がH&Mのようなファストファッションの会社で、広告などで持続可能性について多くの言葉を使用していますが、実際には、年に何百万トンもの衣服を生産しているのです。SHEIN(低価格なアパレル業者として認知されている、中国のオンラインファッション小売業者)なども同じです。これらは非常に大きな企業ですが、生産量が多ければ多いほど、サスティナビリティとは言えないでしょう」

──SDGsウォッシュなども増えてます。どうやって見抜くべきだと思いますか?

見抜くというよりも、まずはとにかく、買う量を減らすことです。必ずしも特定の企業を完全に避ける必要はありませんが、もし私たちが買う量を減らせば、企業はその分、生産する必要がなくなるでしょうから。

 繰り返しますが、ファッションにおける最大の問題は、生産量だと思います。だから、一人ひとりが買い物の習慣や、毎年どれくらいの量を買い、捨てているかを見直すことが、とても重要なのです(※)。

 しかし私は現在、個人が持っている洋服の数の多い少ないよりも、企業の宣伝の仕方を問題視しています。毎週のように新しい洋服を買ったり、1年に何百着も新調したりする買い方を促したり、YouTubeやInstagramでよく見るような、大量の購入品を紹介をしたりする宣伝の仕方です

(※ 環境省によると、1年間に1回も着られていない服が1人あたり25枚もある。また、家庭から手放される衣服の量は年間約75万トンで、そのうち約50万トンがごみとして出されているという)

話は尽きず、英語で激論を交わすたかまつななとトルメイアさん

どんな人でも、環境を守れるような役割がある

──気候変動対策などへの参加を促すメッセージは、どのように発信を?

「Instagramやソーシャルメディアのプラットフォームを利用しています。人々に興味を持ってもらうには、私がしていること、私が気にかけていることを共有することで、“これなら自分も参加できるかもしれない”と思ってもらうことが大事だと思います。

 メディアは、気候変動の活動家になるには、道路に座り込んで交通を遮断したり、抗議行動で破壊的な行動をとるしかないと思っているようですが、実際には、さまざまな方法があります。私のように、抗議活動のためのポスターなどをデザインするアーティストや、あらゆるものを撮影する写真家、映画を作る人にも、環境を守れるような役割があるのです

──トルメイアさんにはInstagramに約17500人、Twitterには約5800人のフォロワーがいますよね。どのような人たちですか?

「ほとんどが20代から30代だと思います」

──なぜあなたをフォローするのだと思いますか?

「わかりやすく、楽しく、興味を引くような内容なので、みなさんフォローしてくださるのではないかと。気候変動のような話は、多くの人にとって恐怖であり、どうしたらいいのかわからないような難題だと思うんです。ですから、私はできるだけわかりやすく、怖がらせるのではなく、実際に関わりたいと思わせるような内容にするよう心がけています。

 私がやりたいことのひとつは、気候変動運動に参加する方法を紹介することなんです。以前、人々が実行できるあらゆることを詳しく調べて、その結果を投稿したんです。例えば、“もしあなたが会計士で、スプレッドシートの使い方を知っているなら、気候変動運動や気候変動組織の資金繰りを手助けすることができます”というふうに、自分の好きなことや得意なことを活かして参加することができるという好例を示すことができました。このように、自分のスキルは何なのかという観点で考えることは、人々の理解にとても役立つと思います。みなさん、こういう発想は初めてだと思うので、その点は自信を持って発信しました

トルメイアさんの全身ルック。モデル顔負けのスタイリッシュさ!