台数は減るもニーズは急上昇! 石田さんが「今後は増える」と言う理由
──ただコロナ禍で自動販売機のニーズが高まった面もあるんですよね。
「そうですね。コンビニと違って非接触で購入できるので、自動販売機が求められてきています。特に『ど冷えもん』は今まさにブームですね。『全国の名店の味を冷凍食品として提供する自動販売機』です。従来の自動販売機だと小さいサイズの決まった形の製品しか売れなかったんですけど、ど冷えもんは筐体内の4種類のストッカーを組み合わせることで大型の商品を売れるようにしたんですよ」
──これがまず大きな革命だったわけですね。冷凍食品なのに味もすごくおいしいと聞きます。
「はい。すごくおいしいですよ。冷凍食品の命である“鮮度”を保つための仕組みがいくつもあるんです。業務用冷凍庫レベルのマイナス25℃まで冷やせるうえ“消費期限になると販売停止する機能”や“90分間以上、マイナス15℃以上の状態が続くと自動で販売停止にする機能”もあります。
──すごい企業努力ですね。ちょっと今日は帰りに絶対買います。
「本当に再現性がすごく高くておいしいですよ。自動販売機の値段としては高めですが、全国の名店の味が24時間365日いつでも食べられることを加味したら、安いと思います。
最近だと『ど冷えもん』だけではなく、富士電機さんからも『FROZEN STATION』という冷凍自販機がリリースされています。“自動販売機 × 冷凍食品”の分野は需要が伸びそうです」
──コロナ禍で自動販売機は衰退と隆盛の両面を経験しているわけですね。石田さんとしては今後、台数はどう推移するとお考えですか?
「私は増えると思っています。まず働き方改革でコンビニが“24時間営業をやめましょう”という流れになっているというのが大きいです。すると深夜に買い物をする際の選択肢が自動販売機しかない。となると、自ずと台数は増えるはずです。
今は飲み物だけでなく、おいしい冷凍食品も 買えるようになりましたからね。コンビニと遜色ないレベルまで利便性が高まっていくんじゃないかなと思います」
──なるほど。確かに24時間営業がなくなれば、自動販売機の天下ですね。腑に落ちます。
「それと、少子高齢化で労働力が減るにつれて、今後は無人で稼働できる自動販売機の需要が伸びてくるんじゃないかな、と予想しています。
今は“自走式の自動販売機”も開発されはじめているんですよ。今まではこちらから働きかけることしかできなかったんですが、今後は自動販売機のほうから来てくれる光景を見られるかもしれません」
──すごい! 超画期的ですね。
「そう。これは自動販売機の課題をクリアできる発明だと思っていて、例えばビジネス街って土日は人の出入りがほぼないじゃないですか。するとそのエリアの自動販売機は売り上げが落ちるわけですよ。それをAIで学習して、例えば“土日だけ銀座や渋谷に移動する”みたいなことができれば、少ない台数で売上を増やせるはずですよね。
もし“いくらでも予算を割くから、好きなように自動販売機を作ってもいいよ”って言われたら、こうしたものを作りたいですね(笑)」
命と治安を守るために、自動販売機の場所を覚えておいてほしい
──おもしろいです。自動販売機にはまだまだ可能性がありますね。石田さん自身は趣味活動としての目標というかゴールはあるんですか?
「いや、あくまで趣味なので明確にはないです(笑)。ただ“自動販売機が人助けをする姿を見届けたいな”と思っていますね。
その点でいうと、先日まで新宿駅で試験運転をしていた『薬の自動販売機』には本当に感動しました。症状や薬名から薬を選べて、その場で薬剤師さんとビデオ通話をつないで、許可を得てから買えるんです。
例えば、これを医師と遠隔でつなぐと“その場で診察してもらい、そのまま処方箋を受け取れる”ということもできるわけですよ。すると身体をうまく動かせない方や離島に住む方も満足に医療を受けられますよね。この機能が完成したら、私のオタ活はゴールといってもいいかもしれないです(笑)」