流行にとらわれない普遍的な美肌を追求したい

必ずご自身で試し、「いい」と実感できたものだけを製品化するという 撮影/吉岡竜紀 

 さまざまな製品を作っていくなかで、「いい成分だけを集めて化粧品を作ることが、いい製品を作ることにつながるわけではない」ということを学びました。

 例えば、レチノールも今は一般的に使われていますが、20年前は誰も手を出さなかった成分だと思います。このように、美容業界では、10年前の非常識が現在の常識であることも少なくないのです。

 時代とともに医学と美容の常識が歩み寄るようになり、法律も変わったため、新規参入がしやすい業界ではありますが、それを継続していくには厳しい局面もあります。そこを乗り越えていくために、時流に合った製品開発も欠かせません。

 自分も歳を重ねましたから美白だけではなく、エイジングケアにも比重をおいてきました。お客様が増えてくれば、肌質別のお悩みに合わせたケア製品も必要になります。このところ好調なのは、親子2世代で使っていただけるラインです。

 美容は、女性同士の共通言語。私も娘たちとは美容についての話でよく盛り上がっています。求めるものが違っても、肌質や生活環境は一緒だったりと、共通点があると思うんですよね。ですから2〜3世代で使っていただけるラインを提案しています。

『FTC』の代表的な商品のひとつに、まつげ美容液があります。フラーレンと呼ばれる抗酸化成分を使っているのですが、もともと薬の開発から発見されたもので、日本で研究されていました。

 呼吸とともに体内に発生する活性酸素は、肌細胞を攻撃して老化を進めます。その活性酸素を除去してくれる成分がフラーレン。以前から『FTC』の化粧水に配合していたのですが、使っている方から「まつ毛が伸びてきた」とご意見をいただきました。フラーレンの供給元に問い合わせると養毛効果があることがわかり、これを配合してまつげ美容液を開発した結果、リピーターの方がとても多い商品となりました。まつ毛だけでなく、目のフレームラインのゆるみに働きかける効果も期待できるため、アイラインが描きにくくなった、という方にもぜひお試しいただきたいです。

 しかし、人間の肌は急には変わりません。メイクの方法などは時代とともに変化していきますが、私たちは普遍的に美しい肌──きめが細かく透明感があり、ふっくらとした弾力のある健康な肌──をひとりでも多くの方に叶(かな)えていただくため、安全性が高く確かな効果を感じていただける製品作りをしていきたいと考えています

 ただラインナップを増やせばいいわけでも、効果の高い美容成分を導入すればいいわけでもありません。繰り返し、継続的に使っていただくことが何より大切なので、香りや使用感が心地よく、また同じものを使いたいと思っていただける商品づくりを目指しています。