これまでの楽曲は合計290曲! 「夢」という言葉に秘められた思い
──今はどれくらい楽曲があるのですか?
「この間数えたら290曲前後ありました。ライブでは新曲を演奏するのもワクワクするし、休ませていた曲をひさしぶりにやるのも、新鮮で面白いですね」
──フラカンの歌詞には「夢」という言葉が多いですが、何か特別な意味が込められているのですか?
「フラカンの4人って、ロケットに乗りたいとか非現実的な夢を持つようなタイプの人間じゃないから。バンドをちょっとでも長く続けたいとか、すごいねって褒められたいっていう……それを夢って言っているような気もします。鈴木の歌詞は、夢を持っているけれど、失敗することは恐れてない感じですよね」
──聞くと胸をぐっとつかまれる「メンバーチェンジなし! 活動休止なし! ヒット曲なし!」という名文句のMCですが、あれはどういった経緯で始まったんですか?
「いつだったかわからないけれど、鈴木が“決めゼリフを言いたい”って言ってきて。“フラカンっていったらこう”っていう看板みたいなものですよね。“ヒット曲なし”っていうのは、僕たちの中では田舎のおばあちゃんが聞いても知っているような曲=ヒット曲っていうイメージがあるので。あとは“ヒット曲なし”って言って、“そんなことないよ”って言ってほしい、鈴木の甘えじゃないですかね(笑)」
──メンバーチェンジがなかった大きな要因ってなんだと思いますか?
「現時点で言うと、大病しなかった、みんな健康であったっていうのがでかいと思う。あとは感情の揺れが激しいタイプの人間がいなかったのがよかった。メンバー間で怒ったりすることとかもたくさんあるけれど、本当にそこで大ゲンカになるっていうことがなかったから」
全国のライブハウスの力になりたい
──2011年の東日本大震災で節電が叫ばれていた時に、電気を使えなくてもアコースティックでライブができるからと、ライブハウスの空いてしまっている日に出演すると言っていたそうですが。
「卑下するわけじゃないけど、僕らが被災地に行ったところで、知名度がないし喜ばれないし、迷惑になるだけだから。でも、スケジュールが空いてしまったライブハウスの力になりたいと思った。
地方のライブハウスは、今もコロナの影響で、平日にライブの予定が全然入っていないんですよ。田舎に行くとコロナ前から、土日だけでも月に3日しか入っていないとか。普段ほかの仕事をしながら趣味でライブハウスを経営している人もいると聞いて、“これはやばいぞ”と。だから、俺らは平日はなるべく地方に行きたいって思っているんですよ」
──大型野外フェスなども、コロナで開催中止の憂き目に遭っていましたが……。
「僕らみたいなおじさんバンドは、徐々にフェスとかにも呼ばれなくなってくからね。フェスって若手の文化だと思うし、僕らは僕らのやり方でやっていくしかないよね」
──ファンの方も一緒に歳を重ねていっているから、フェスから遠のいたのもあるかもしれないですね。
「好きなものをいつまでたってもやめないっていうのは、大事なキーワードだと思います。50歳になっても好きなことを続けられれば、それだけで楽しいと思う。僕も若い頃は50歳過ぎてもバンドを続けているなんて、1ミリも思っていなかったから」
──そういえば、「COUNTDOWN JAPAN 11/12」(2011年末から2012年の年明けにかけて幕張メッセで開催されたロックフェス)で出演者にキャンセルが出た時に、急きょ、代打でいちばん大きいステージに出演されていましたね。
「あれは本当に急だったけれど、フェスに出られるのはやっぱりうれしいですよ。ああいう機会じゃないとでかいステージでやることがないし。客が少ないかもしれないって言われたけれど、別に少なくてもライブをやることには変わらないわけだから。そりゃ、最初から呼んでほしいっていう気持ちもあるけれど(笑)」