『M-1』決勝の前からすでにあった“予兆”

──そんな小田さんのさらなる転機といえば、おいでやすこがで準優勝を果たした'20年の『M-1』になるかと思うのですが、小田さん自身はどう感じていますか?

「転機と呼べる日を1日挙げるとしたら、もちろん2020年12月20日(※M-1決勝当日)だと思います。もうすべてが変わったので。だけど、周りの芸人には“その少し前から予兆はあった”といわれるんですよ」

──予兆、ですか。

それが、11月の『ワイドナショー』です。次の年のR-1から芸歴制限を設けることになったというニュースを取り上げることになって、参加資格を失った僕が急きょ『ワイドナショー』に出演することになったんです」

──確か、翌年の『R-1』開催を発表する会見が開かれたんですよね。そこで芸歴制限を設けると明かされ、会見場にいた小田さんが自暴自棄になっていました。その光景が、『ワイドナショー』のスタッフさんの目に留まったと。

「収録当日は、ネタもやらせてもらいました。ルミネの合間やったんでリハもできなかったんですけど、それでもできそうなネタを選んだら、結構ウケたんですよ。周りの芸人からも“すごかった”と言われたくらいやったんですけど、その3日後にM-1の準決勝やったんです。これが、奇跡的なタイミングだったんですよね」

──『R-1』の会見と『ワイドナショー』の勢いそのままに臨めますもんね。

これが1回戦の前やったら効力が薄れるし、準決勝の後やったら意味ないしという、ほんまにベストなタイミングでした。“R-1終わった人”、“それに対してワーワーいってた人”というイメージのついた僕が準決勝で登場して、“僕ら、漫才しか残ってません”というつかみを言ったら、バーン!ウケました。そこから勢いに乗れた感じですね

──お客さんの気持ちをつかんだんですね。

「そうですね。賞レース好きのお客さんってやっぱりいて、M-1を見ている人はR-1もちゃんと見ているんです。そのお客さんの後押しもあったと思います。あとは、当時のマネージャーの力も大きいです。東京来てすぐについてくれたマネージャーなんですけど、その人がいろんな仕事を持ってきてくれたからすぐにバイトをやめられたんです。本当に感謝しているんですけど、'20年の5月ぐらいに1回僕の担当から離れたんですよ。でも11月にまた戻ってきてくれたんです」

──もともとついてくれていたマネージャーさんが。そうして『M-1』準優勝を獲得したと思うと、運も味方してくれていたんだと感じますね。

「今思うとですけどね。当時の僕らは、何も思ってなかったです。M-1記念受験のつもりやったし、決勝の次の日からはまた日常に戻ると思ってたんで」

──でも、実際にはメディア露出が増えましたよね。

その年はコロナもあってスケジュールが真っ白やったんですけど、一気に真っ黒になりました。状況が180度逆転した感じです。'21年はメディアばっかりで、マヂラブ(マヂカルラブリー)と同率でブレイク芸人1位にもならせてもらいました」

バラエティー番組にドラマへの出演と、見ない日はないと思うほどのブレイクを果たした 撮影/高梨俊浩
憧れの芸人像はこれまでもこれからも変わらず“ダウンタウン”であり続けるだろう  撮影/高梨俊浩
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 運命に導かれ、ブレイクした小田さん。インタビュー後編では、息の長い芸人になる秘けつを自己分析してもらったほか、ドラマの現場に挑む姿勢なども語ってもらいました。

(取材・文/松本まゆげ、編集/本間美帆)


【PROFILE】おいでやす小田 1978年生まれ、京都府京都市出身。NSC大阪23期。'16年から5年連続で『R-1ぐらんぷり』決勝進出を果たした実力派ピン芸人。近年は俳優業も盛んで、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』や、『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系)などに出演している。11月2日には、初のエッセイ『僕はどうしても捨てられない。』(ワニブックス)発売。さらに11月3日には、ルミネtheよしもとにて単独ライブを開催する。

YouTube→おいでやす小田とこがけんの[おいでやすこがチャンネル]、 Twitter→@oideyasuoda、Instagram→@oideyasuoda

《出演情報》
おいでやす小田ベストネタライブ「オーバースロー」

□日時
公演:2022年11月3日(木)19:00開場 19:30開演
オンライン配信:2022年11月3日(木)19:00開場 19:30配信開始 21:00配信終了

□会場
ルミネtheよしもと

□料金
前売:3000円
当日:3500円
オンライン配信チケット:1800円

◆公式サイト:https://lumine.yoshimoto.co.jp/2022/11/2022111718-jarujaru-tower-2022-1.html