今は今後のことを決めていない。3年後にしか見えない景色がきっとあるはず
──chikaさんが先ほどおっしゃった「準備はネガティブに、やるときはポジティブに」にもつながる話だと思いました。寄り道って大事なんですね。
「フィンランドの友人の言葉もターニングポイントになりました。10代のころは、誰かからしかられると“なんで?”と思うこともあったのですが、大人になってからその友人が日記の書き方を教えてくれたんです。“1日の終わりに、うれしかったことと、ありがたかったことを書くんだ”と言っていて。
日記を前にして考えたとき、しかられたことや失敗したことは一見、ネガティブな出来事ですが、長期目線で見たらありがたいことだなあと改めて意識しました。どんな出来事も見方によって変わるのだと、そのときに気づけました」
──『北欧こじらせ日記』が多くの人を勇気づけているのも、chikaさんのそういった観点があるからですね。
「もちろん悩みもあって、書きなぐるようにつづった日記を書籍の担当編集さんにお送りしたとき、編集さんが“こういうのも読みたいです”とおっしゃったんです。
続けて“chikaさんとお会いして話すまで、人生がスムーズで、物事を前向きに進めていく人だと思っていましたが、話していたらその裏には苦しいことや悲しいこともあって、乗り越え方を学びながら今に至るんだということを知れて勇気をもらえました”と言ってくださったおかげで、等身大の悩みも著書に描くことができました」
──私もchikaさんの著書を読んで勇気をもらいました。chikaさんは3年単位でしたいことを考えるとおっしゃっていましたが、今の時点で3年後はどうなっていると思いますか?
「フィンランドに来る前も、夢の先にある景色がまったく想像できなかったので、あえて今は何も決めないでいます。3年後にしか見えない景色の中で、また見つかる新しい夢が絶対にあるはず。そのとき何をしたいと思っているのか、実際に何をするのか、自分でも楽しみです」
(取材・文/若林理央)
【PROFILE】
週末北欧部 chika ◎大阪府出身。フィンランドが好きすぎて12年以上通い続け、ディープな楽しみ方を味わいつくした自他ともに認めるフィンランドオタク。移住のために会社員生活のかたわら寿司職人の修業を始め、2022年4月、ついにフィンランドで寿司職人に! モットーは「とりあえずやってみる」。好きなものは水辺、ねこ、酒、1人旅。著書に『北欧こじらせ日記』『北欧こじらせ日記 移住決定編』(ともに世界文化社)かもめニッキ(講談社)など。
Twitter→@cicasca、Instagram→https://www.instagram.com/cicasca/