芸人の自分とまじめな自分との両立、次なる目標はサステナブルな芸

──お魚替え歌やチャレンジ企画などの楽しいコンテンツから環境問題にかかわるものまで、本当にいろいろなアプローチをされていますよね。

「替え歌は趣味を全部詰め込んだ感じで、僕のネタを見て“嫌なことを忘れられました”と言われるとやっぱりうれしいですね環境問題については届け方が本当に難しいし試行錯誤していますが、僕の立ち位置だからこそできることをしていければなと。芸人としての僕とまじめな僕を両立するのがまた難しいところでもあるのですが、どちらの僕も発信していければと思っています」

──ハットリさんなら両立できると思います! これからも応援しています。最後に、今後の目標を教えてください。

 「人生の目標としては、死ぬまでネタをしていきたいです。とはいえ、さかな芸人と名乗っている限り、魚の知識や環境問題の知見を広げていかないと説得力がないので、これからもブラッシュアップし続ける必要性を感じています。

 それと同時に、どう自分の芸をサステナブルなものにするのかが今の課題。以前はドカンと人気者になって引っ張りだこになりたいと思っていたけど、コロナ禍で全然呼ばれない経験をして、呼ばれなくても自分からイベントを生み出せる力が必要だと心底思いました。自分で作るスタイルや地盤を確立して、一生芸人でいたいですね

「ハットリさん!もう少し右です!」と声をかけたところ、とっさに出してくれたフリップ! 撮影/山田智絵

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 楽しいエンタメだけでなく、世間に与える影響までしっかりと考えているハットリさん。責任と覚悟を持って取り組む姿から、高いプロ意識と周りに配慮する優しさが伝わってきました。これからもあっと言わせる芸で笑いと気づきを届けてくれるはず。今後のさらなる活躍に期待しましょう!

(取材・文/阿部恭子、編集/FM中西)

【PROFILE】
さかな芸人ハットリ 1989年、神奈川県生まれ。福岡大学付属大濠高等学校、早稲田大学教育学部卒業。大学ではスキューバダイビングとお笑いサークル「早稲田寄席演芸研究会」に所属。2010年より芸人として活動スタート。2014年「日本さかな検定(通称ととけん)」1級に合格。その後再度受験し、2017年に同検定で全国6位に。同年10月に個人事務所「ハットリ水産」を設立。2021年『日本一魚好きな芸人の魚図鑑 さかな芸人ハットリが日本一周して出会った魚たち』出版。歌詞をすべて魚の名前にして歌う「お魚替え歌」や魚しばりのチャレンジ企画がSNSで注目を集め、『アメトーーク!』やイベントなど多数出演。