令和の皇后として国民に寄り添うお気持ちを

 待ち望んでいた海外訪問が久しぶりに実現した翌年、雅子さまは帯状疱疹をきっかけに長い療養生活に入ります。その後、天皇陛下が「雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と発言したことは大きな波紋を呼びました。愛子さまも小学校時代に登校が不規則になるなど試練が続きましたが、ご一家は強い絆で乗り越えてきました。

 そして2019年5月1日、雅子さまは上皇后美智子さまの後を受け継ぎ、令和の皇后陛下に。

◎「外国訪問をすることがなかなか難しいという状況は、正直申しまして私自身その状況に適応することになかなか大きな努力が要ったということがございます」

 2002(平成14)年12月、天皇陛下と雅子さまはニュージーランドとオーストラリアをご訪問。実に8年ぶりの外国公式訪問でした。米国の大学を卒業し、海外生活が長かった雅子さま。それだけにご結婚後、外国訪問が少ない状況はどんなにか悩ましいものだったのではないでしょうか。

2002(平成14)年12月、オーストラリア・シドニーのタロンガ動物園でコアラを抱っこ 撮影/JMPA

◎「周りの方々にも助けていただきながら、できることが少しずつ増えてきました」

 2004(平成16)年に適応障害であることを公表して以来、治療を続けている雅子さま。2017(平成29)年の誕生日には周囲の支えに感謝したうえで「できる限りの務めを果たせればと思い、努力してまいりました」と所感を綴(つづ)られました。近年は地方への泊まりがけのご公務に出席することも増え、体調に波はあるものの回復途上にあるとのことです。

2019(令和元)年7月、地球科学の国際会議にご出席 撮影/JMPA(渡邉智裕)

◎「これまで以上に皆でお互いを気遣い、支え合っていける社会となっていくことを願っています」

 前年に続き、新型コロナウイルスの感染に見舞われた2021(令和3)年。雅子さまは誕生日のご感想で自殺者が増えたことに触れ、経済的に追い込まれたり、孤独に苛まれる人々のことを憂いました。2014(平成26)年にも「痛みを分かちあいながら皆で手を携えて歩んでいくことが、これから先ますます大切になるのではないか」と綴られていますが、このお言葉の前に「人々がお互いを思いやる気持ちを大事にし、特に弱い立場にある人々をいたわり」と書かれています。ご病気を経験されている雅子さまだからこそわかる、人を思いやる大切さや弱者へのいたわりの気持ちが伝わってきます。

(文/fumufumu news編集部)