『ル・スプートニク』高橋雄二郎シェフのスペシャリテ

◎鯖とイチジク

撮影/齋藤周造

 鯖にイチジクを合わせるという、誰も考えないような閃(ひらめ)きから試作を重ねて練り上げたひと皿。鯖は塩で締めてから、燻製にして、煙でほんのり火を入れた。かぶせた葉を開けると、煙とともに薫香が広がる。ロックフォールとこがし葱油、イチジクの葉の香りを移したソース、天然の青森県産舞茸を付け合わせに添えた。黒の器にピンクのエディブルフラワーを飾りシックに。香りが鼻孔を抜けて、鯖の味わいが五感に伝わってくる。

◎鴨の首づるのガランティーヌ

撮影/齋藤周造

 和歌山県産紀州鴨の胸肉のロースト。届いた鴨の首が太かったので、中に詰めものをしようと考え、骨を抜いて袋状になった首にメインで使わない肉の部分を詰め、縛って最後に焼き色をつけた。ジャンブー(ハーブの1種)、黒味噌(みそ)にんにく、自家製セミドライピオーネ、ナスのピクルスと柑橘のピューレ、黒イチジクを合わせた。鴨のさまざまな部位の肉を味わえる斬新なひと皿。

◎オリジナルデザート 

撮影/齋藤周造

 抹茶と何が合うかと考えたが、マンゴーだとありきたりな味。酸味や苦味を出したいと、グレープフルーツを合わせてみた。クリームが多すぎると最後のデザートとしては重すぎるので、抹茶とグレープフルーツのジュレに青みかんの香りを添え、清涼感を持たせる。段々畑をイメージしてチュイルを組み立てた。建築好きという高橋シェフのアート感覚が光るプレゼンテーション。

(取材・文/Miki D'Angelo Yamashita)


【PROFILE】
高橋雄二郎(たかはし・ゆうじろう) ◎1977年福岡県生まれ。大学時代に料理人の道へ進むことを決め、調理師専門学校へ。卒業後、都内レストランで修業し、2004年に渡仏。三つ星の『ルドワイヤン』をはじめ、ビストロ、パティスリー、ブーランジェリーと各分野で研鑽を積む。2007年に帰国し、『ル・ジュー・ドゥ・ラシエット』のシェフを勤めたあと独立、2015年、『ル・スプートニク』をオープン。

『ル・スプートニク』

住所:東京都港区六本木7丁目9-9 リッモーネ六本木1F
電話:03-6434-7080
営業時間:12:00 - 15:00 (Lo13:00)18:00 - 23:00 (Lo20:00)
定休日:月曜日
URL:https://le-sputnik.jp/#
備考:「ランチコース」7150円(税込み、以下同)、「ディナーコース」16500円