新曲「昭和から」作詞・作曲のさだまさしからの“テレビメッセージ”にビックリ!
ここからは、'23年の元日に発売されたデビュー55周年記念シングル「昭和から」について語ってもらった。本作は、同郷であるさだまさしが作詞・作曲を担当。'95年の「終着駅 長崎」以来となるタッグだが、どのように決まったのだろうか。
「高校の後輩なので、頼みやすいんですよ(笑)。さだやんも、僕のことを“先輩!”って呼んでくれるので。さだやんとは長く親しくさせていただいて、番組で一緒になったときに“俺にも1曲お願いできない?”、“うん、いいよ!”みたいなノリが以前からあって、今回、55周年を迎えたので出すことになったんです」
「終着駅 長崎」は、マイナー調で前川のロングトーンがビシッと決まる感じなのに対し、今回の「昭和から」は、いかにもさだまさしが歌いそうな優しいフォーク調の楽曲で、これを前川が歌うのもとても新鮮だ。
「今回の曲は、まるっきり“さだまさし”の世界ですね。実は、このデモテープを聴いていた夜、12時過ぎにNHKで『生さだ(今夜も生でさだまさし)』が始まったんです。“ああ、忙しいのに作ってくれたんだなぁ”って思って見ていたら、“前川さん、見てる? もし今度の歌、気に入らなかったら全部変えるから連絡して!”っていきなりテレビで言われたんですよ(笑)。そこで、もう絶対にこのまま歌いたいと思いました。さだやんも50周年ということで、力が入っていますからね。
これはレコーディングに3日もかかりました。さだやんが歌ってくれたデモテープが、またいいんですよ。さだやんにも、中島みゆきさんのように(インタビュー第2弾参照)、“ああ、こんな風になるんだ”って言ってもらえたら成功ですね。さだやんの歌もめちゃくちゃすてきなんだけど、そのよさを生かしつつ、いかにそことは離れて歌うかということを考えました。今回、坂本昌之さんに初めてアレンジをお願いしましたが、さだやんの楽曲も手がけていらっしゃるので完成度も高く、とても満足しています」
ちなみに、カップリング曲「思い出は恋しくて、見た夢は儚くて」は紘毅による詞曲で、コンサートのラストで歌われそうな穏やかな楽曲。こちらは前川いわく、クール・ファイブのことが書かれているそうで、「いつまでも 手を貸して」や「いつまでも 手を貸そう」という歌詞と、前川の温かな歌声がハマっている。
最後に、ストリーミングサービスで自身の歌を聴いているリスナーに向けてメッセージをもらった。
「ふだん演歌を聴いていない方や若い方に聴いていただけるのは、とてもうれしいことです。今、ユーミン(松任谷由実)がデビュー50周年で、とても話題になっていますよね。福山(雅治)さんもそうだけど、ふたりとも、いつの時代に聴いても通用するいい歌が多い。演歌ってどうしても、そこまでは広がっていないという気がしていたけれど、こうして多くの方々が聴いてくださっているというデータを見せてもらって、今後の自信になりました。ありがとうございます!」
前川のインタビュー中、何度も感じられたのは、“挑戦し続ける”というスタンスと“謙虚な姿勢”だ。グループとソロで合計29回、NHK紅白歌合戦に出場し、テレビのレギュラー番組も、各地方での演劇と歌謡ショーを組み合わせた舞台も順調なのに、新たなジャンルに果敢に挑戦し、それでいて決して大御所感も見せない。だからこそ、さまざまな化学反応が生まれて、後世に残る面白い作品がたくさん残っているのだろう。ふだん演歌の世界を敬遠しがちな方も、ここでのランキングを参考に、前川清の楽曲を気軽に聴いてほしい。
(取材・文/人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)
【PROFILE】
前川清(まえかわ・きよし) ◎演歌歌手。1948年8月19日生まれ、長崎県佐世保市出身。1969年にグループ『内山田洋とクール・ファイブ』のメインボーカルとして、シングル「長崎は今日も雨だった」でデビュー。「噂の女」「そして、神戸」「東京砂漠」などのヒット作を多数リリースする。'87年よりソロ活動をスタートし、シングル「男と女の破片」がヒットを記録。'02年には福山雅治プロデュースによる「ひまわり」、'17年には加山雄三作曲「嘘よ」をリリース。歌手活動以外にも舞台・テレビ番組への出演など、幅広く活動を続けている。
前川清の芸能生活も55周年目に突入。
本作品は、盟友である、同じ長崎県出身のさだまさしが楽曲を提供した意欲作!
◎前川清オフィシャルHP「前川清にゾッコン!」→https://maekiyo.com/
◎前川清公式YouTube「前川ちゃんねる」→https://www.youtube.com/channel/UCsE_YLa-s_PLNj6KHDa02Kw
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