コンプレックスを個性に変えるために必要なもの

──大月さん自身は、何かコンプレックスをお持ちですか?

「いっぱいありますよ。中でも、いちばん気になるのは目です。目の横幅があまりないのが嫌なのですが、この目に生まれたからには、“ワイルドなセーターや、イカツめのジャケットがマッチするな”とか、個性を生かしたコーディネートの変化で調整するようにしています。コンプレックスを生かすメンタルの強さは持っているので。

 髪の毛においては、コンプレックスはないですね。私自身のヘアカットは後輩にすべて任せているのですが、髪の毛が短いときは“ジャケットを多めにするか”とか、“今回は長いからパーマをかけて、ニットを多めにしようか”とか、ここでもコーディネートでバランスをとっています」

──あまりコーディネートの引き出しがない人は、どのようにすればいいでしょう。

「手っ取り早いのは、インスタグラムなどのSNSでヘアスタイルとかファッションを見まくることです。スマホにスクショをとっておくだけで、わからなくなったら、それを見ればいいだけですから。センスは磨くものじゃなくて盗むもの。そう考えれば、誰でも身につけられます。

 もうひとつアドバイスするなら、モテたい人と思う対象の人たちに直接聞いてみることです。例えば、周りにいる女性や、仕事先での同僚に尋ねてみると、客観的な目線で意見をもらえます。特に、ファッションやヘアスタイルなどは必ずその人の好みが入るので、偏らないようにいろんな人の意見を聞き、その中央値をとれば、万人に受けるコーディネートが身につきます」

──最後に、コンプレックスを持っているが、一歩踏み出せない人にアドバイスをいただけますか?

「コンプレックスというのは、自分が考えているほど、ほかの人は気にしていないことが多いです。まずは深く考えすぎないこと。できれば、最後は自分でも口に出せるぐらい、気にならなくなればいいんですが、すぐにはそこまで変われないと思うので、まずは長所を伸ばすことから始めているのがいいと思います。

 そのためには、先ほども少し触れましたが、人に聞くことが一番です。例えば、私のような美容師など、プロに聞くのもいいですし、ハードルが高いようでしたら、小さなころからあなたのことをよく知っている親御さんや兄弟、友人などに聞くのもいいかもしれません。

 もちろん、その意見を全部うのみにするのではなく、自分がやりたいと思う軸を持ったうえで、周りの意見を参考にしてアップデートしていくのがいいと思います」

「お客さんが笑顔になって帰って行くのを見るのが好き」と話してくれた 撮影/廣瀬靖士