アルバム『Wardrobe』が令和でも大人気! 収録曲の印象的な歌詞にも注目

 そして、第7位「What's Love?」、第10位「ヒールとスタジャン」、第12位「Congratulaion」は、いずれも'84年のアルバム『Wardrobe』収録。本アルバムは、全曲の作詞を康珍化、作曲を林哲司が手がけている。これだけ人気曲が集中するのは、間違いなく松原みきの「真夜中のドア~Stay with me」や、一連の菊池桃子作品にも通じるシティポップ・ブームの影響を受けているだろう。

 ただ、「What's Love?」は、“杉山清貴&オメガトライブ”ファンが泣いて喜びそうなクールなドライブソング、「ヒールとスタジャン」は、明るく弾けたアッパーチューン、さらに「Congratulation」は穏やかなミディアム・チューンと、林哲司の楽曲の中でもかなりレパートリーが幅広い。康珍化の歌詞も多彩だし、岩崎良美の歌声も自由自在だし、林自身もいつも以上に作曲の想像力が広がったのではないだろうか。

「『タッチ』のときもお話ししましたが、康珍化さんの歌詞は、アルバムでも名曲ぞろいなんです。12位の『Congratulation!』もめちゃくちゃ好きな曲でした。友達の結婚式で、学生のころから気になっていた男性と再会するという内容ですね。32位の『10月のフォト・メール』……これがまた切ない曲なんですよ! このアルバムの曲は、こんなに人気なんですね? 今日、家に帰って聴き直します!」

 ちなみに「10月のフォト・メール」は、海外留学した彼から“成田に迎えに来て”と書かれた手紙が届くのだが、日本で待つ彼女にはすでに新しい恋人がいて……という内容。このアルバムは、ほかにもドラマティックな歌詞と印象的なサウンドが凝縮された作品となっている。収録されたシングル曲は「愛はどこに行ったの」(オリコン最高86位)と「くちびるからサスペンス」(オリコン最高73位)で、本アルバム自体もオリコン最高50位。いずれも決して満足のいく結果ではなかったかもしれないが、当時のレコード会社の制作スタッフは、“本当にいいアルバム”と絶賛している。そんな隠れた名盤が、発売から40年近くたって、岩崎良美の中でもっとも海外で評価されているとは非常に感慨深い。

人気曲が詰まったアルバム『Wardrove』。温かみのある光が差すジャケットがおしゃれ!

 そして、8位には'85年のアルバム『half time』収録の「思い出ハーフタイム」がランクイン。本アルバムには「タッチ」が収録されており、「思い出ハーフタイム」は、それに続く2曲目に収録されていることも、再生回数が伸びた一因であろう。アメリカン・フットボールがテーマとなっているノリのいい楽曲だが、岩崎本人は「コンサートで歌った記憶はない」とのこと。ドラマ『スクール・ウォーズ』でのマネージャー役やアニメ『タッチ』シリーズの関連曲からか、岩崎の歌声からは、スポーツ男子への熱い視線が伝わってくる。