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雑学・教養

「虎ノ門ヒルズ」駅はなぜ「虎ノ門ヒルズ前」ではないのか? 東京の地下鉄・駅名「前」の有無を分けたものとは

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国会議事堂前駅には「前」がつくが、虎ノ門ヒルズ駅には「前」がつかないのはなぜか?
目次
  • 「前」がつく駅とつかない駅の“基準”
  • 銀座線はすべて「〇〇前」。車内アナウンスされる副駅名の共通点は
  • 地下鉄の“先達”ともいえる都電の名残りも

 1927(昭和2)年の開業以来、まもなく100年にならんとする東京の地下鉄。中には利用者の便宜のため、周辺施設の名前を駅名に採用した例も多い。

 よく路線図を見ると、その施設名の後に「前」がついている駅とついていない駅がある。なぜだろうか?「前」の有無の背景を調べてみた。

「前」がつく駅とつかない駅の“基準”

 2023(令和5)年1月現在、東京の地下鉄でいちばん新しい駅は、東京メトロ日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅。2020(令和2)年6月6日に開業した。その名のとおり虎ノ門ヒルズに直結し、銀座線・虎ノ門駅との乗換駅にもなっている。

 その銀座線には、同じく商業施設の名前を採用した駅として三越前駅がある。やはり日本橋三越本店に直結しているからわかりやすい。ほかに二重橋前・国会議事堂前・外苑前……と周辺にも「前」がつく駅は多いが、なぜ虎ノ門ヒルズ駅は「虎ノ門ヒルズ前」にならなかったのか? 実在の施設が駅名に含まれる東京メトロ、都営地下鉄の駅をざっと分類してみると──。

「前」がつく駅

国会議事堂前(丸ノ内線・千代田線)
明治神宮前(千代田線・副都心線)
外苑前(銀座線)
新宿御苑前(丸ノ内線)
三越前(銀座線・半蔵門線)
都庁前(大江戸線)
二重橋前(千代田線)
水天宮前(半蔵門線)
東大前(南北線)
板橋区役所前(三田線)

「前」がつかない駅

虎ノ門ヒルズ(日比谷線)
築地市場(大江戸線)
国立競技場(大江戸線)
護国寺(有楽町線)
泉岳寺(浅草線)
芝公園(三田線)
代々木公園(千代田線)
後楽園(丸ノ内線・南北線)
桜田門(有楽町線)
御成門(三田線)
半蔵門(半蔵門線)

「前」がつく明治神宮前駅と、つかない代々木公園駅が連続する千代田線

 このほか、南北線と三田線が合流する白金高輪駅は開業前の仮の駅名は「清正公前(せいしょうこうまえ)だった。

白金高輪駅の開業前の仮駅名は、駅に近い交差点名の「清正公前」だった

 比較してみると、

●官公庁には「前」がつく(国会議事堂前・都庁前・板橋区役所前)
●皇室に関係する駅はすべて「前」(外苑前・新宿御苑前・明治神宮前・二重橋前)
●神社・神宮なら「前」がつくが、寺院にはつかない(護国寺・泉岳寺)
公園はいずれも「前」なし(後楽園・芝公園・代々木公園)
「〇〇門」にも「前」はつかない(桜田門・御成門・半蔵門)

 という傾向が読み取れる。

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