妻も芸名の「いっけい」で呼ぶ

 名前といえば「渡辺いっけい」は芸名。本名は「一惠」と書いてカズヨシと読む。

「小学生のころから漫画が大好きで、永井豪さんの『ハレンチ学園』とかを真似(まね)してちょっとエッチな絵とかも描いていました(笑)。一時は本気で漫画家を目指していて、そもそも “いっけい” も漫画家のペンネームとして自分で考えたものなんです。“一惠” だと女の子と間違われることもあったし、“だったら、音読みでいいじゃないか!” と。

 中学3年のときにそれを発見して、高校の4月の最初の自己紹介のときに “いっけいって呼んでください” って宣言して。だから高校時代からの友達はみんな “いっけい” です」

──いっけいって声に出しやすい名前じゃないですか。みんなが「いっけい」「いっけい」って呼んでくれる。インパクトがあって目立つし、俳優として素晴らしいお名前。人格もちょっと社交的に変わるような気がします。

「現場に行くときは “渡辺いっけい” として行きますね。だからNODA MAP の『キル』をやったとき(1994年)に、中学の同級生が楽屋を訪ねてきて、廊下で “カズヨシくん” って声かけられて、顔から火が出るくらい恥ずかしかったですね。もう “渡辺一惠” じゃないんでね。

 もちろん向こうは親しみを込めて言ってくれるんですけど、“ちょっとやめてくれよ〜” って思ったのをすごく覚えてますね」

32歳、『虎 野田秀樹の国性爺合戦』の制作発表にて。『キル』に続いて野田秀樹の舞台に出演(1994年)撮影/高梨俊浩

 ちなみに1993年3月に結婚した妻は元女優。舞台の共演が出会いだったため、家庭でも“いっけい” だという。

「でも、僕の実家から電話がかかってきて、おふくろとしゃべるときは “カズヨシくんは……” って言ってます。うまく使い分けてくれてますね」