人見知りの性格だからこそ、ちょうどよいYouTubeの距離感

――オカリナさんの場合、メディア露出も多く世間にオカリナさんのイメージが浸透しています。だからこそ、YouTubeでのコメントもこちらにストレートに刺さるのでしょうね。

「でも、芸人という仕事に関してわからないことだらけなんですよ。使ってくれてありがたいなと思うけど、なんで使ってくれるのかも、使わなくなるのかもわからない。もう、全部わからないです。どうすれば面白くなるのかもわからないですし」

――YouTubeを始めた経緯のところでも、話してくださいましたね。

「面白いことをしなくちゃいけない状況になったとき、恥ずかしくなるんですよ。ボケることがハズい。ダメなことだとは思うんですけど」

――芸人さんからすると、だいぶ珍しいタイプでしょうね。

「基本的には、“笑いを取ってやるぜ!”という人が多いんですけど、私は違いますね

――以前、鬼越トマホークさんのYouTubeチャンネルで、オカリナさんについて「狙ってないのにウケる」「ボケてないんだよね」と分析されていました。

「あ、まさにそうなんですよ。私、明確に笑いを取ろうとして取ったことは1回もないんです。そりゃあ、ゆいPが作ったネタの中ではありますよ? でも、自発的に笑いを取ろうと動くことはないですね。

 昔から自意識過剰で、ボケることが恥ずかしいんです。誰も私のことをそこまで気にしていないとわかっているんですけど、直せない。私の弱点だと思います」

――でもきっと、NSC(吉本総合芸能学院)時代はネタを発表する場面って多いですよね。

「はい。だから常に“嫌だな”“私まで回ってくるな”と思っていました。ただ一方で、さほど“恥ずかしい”と感じないこともあるんですよ。

 例えば、自前のものじゃなかったら下着姿でウロチョロすることもわりと平気です。自前のものだと趣味がバレるのが恥ずかしいんですけど、自前じゃなければいいかなって」

――極端ですね(笑)。

「そうなんですよ(笑)。それに、自意識過剰なくせして周りに配慮できないところもあって。“デリカシーがない”“余計なひと言が多いよね”と言われることもあります。

 例えば森三中の大島(美幸)さんと一緒にお風呂に行ったとき、大島さんが“いちご牛乳買ってあげるよ”と言ってくれたんです。そこで返す言葉って、本来なら“ありがとうございます”だけでいいはずなのに、私は“実は普通の牛乳がよかったんですけどね。ありがとうございます”とか言っちゃうんですよ。

 もともと人見知りだから、人づき合いがそんなに得意じゃなくて。接するときは土足で踏み入っちゃうか、玄関を開けないかのどちらかしかできないんですよね。

 なのでさっき“媚びない”と言ってくれましたけど、この私の性格がみなさんには媚びないように見えているんだなと思います。実際はデリカシーがないだけなんですけど、ちょっと離れてみるとそう見えるのかもなと」

――なるほど。では、YouTubeの配信元と視聴者くらいの距離感のほうが接しやすい?

「あ、そうですね。だと思います。面と向かって接したり、ガッツリ会話をしたりするよりは合っている気がしますね。YouTubeを通して接すると、お互いの悪いところってあんまりわからないし、それ以上深い仲にならないから。

 見てくれている方たちがどう思っているかはわからないけど、私としてはストレスなく過ごせる場所ですね」

不敵な笑みを浮かべるオカリナさん 撮影/佐藤靖彦

(取材・文/松本まゆげ、編集/本間美帆)


【PROFILE】

オカリナ 1984年生まれ、宮崎県出身。NSC(吉本総合芸能学院)東京15期。看護師を経て、2009年にNSC東京校入学。同年に同期のゆいPとお笑いコンビ「おかずクラブ」を結成。2019年には『女芸人No.1決定戦 THE W』のファイナリストとなった。現在は、コンビで『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)など数多くのバラエティ番組に出演。個人としては、実写ドラマ『天才バカボン』の主演経験も。