つきあう相手とは「対話」が必要。“恋愛ごっこ”で終わらないためには

春美「じゃあ、次はどんな人とつきあえば、いい恋愛ができますか? 」

二村「いい恋愛とはどんな恋愛かって、これはあくまでも僕の主観ですけど、春美さん自身についての本質的な話をちゃんとできる相手がいいんじゃないですか。“私って、これこれこういう人間なんだけど、何なんだろう?”みたいな。春美さんって今まで、好きだった男に自分の弱みって見せてきましたか?」

春美「言わなくていいかなって思って、見せなかったかも。愚痴(ぐち)っぽくなっちゃうのが嫌なので。あと、仕事で抱えたストレスを全部浴びせた結果、相手がくたびれちゃってフラれた、みたいなことも過去にあったので(笑)」

二村「ちゃんと話すっていうのは、相手を愚痴のはけ口にするっていうのとはちょっと違うんです。人間って同じ仕事で同じつらい目にあってても、同じように傷つくとは限らなくて、一人ひとりストレスの感じ方は異なるでしょ。自分がどういった状況に弱いかとか、何が好きで何によって元気になるのかって、言葉にしてみないと自分でもわかってなかったりするじゃないですか。アドバイスとかは求めなくていい、壁打ちの相手になってもらうだけでいい。それで春美さんをコントロールしようとはしてこない、ただ壁打ちにつきあってくれる相手。“この人とつきあおう”って決めた人とは、そういうことを共有して互いのストレスのもとを理解するために、裸でくっつきながらそういう話をするといいですよ。恋人とすることはセックスやデートだけじゃないからね」

春美「今まで、できていなかったかもしれない……」

二村「“あなたのことを好き”って言い合うのは、これは会話ですよね。でも会話じゃなくて対話っていうのは、お互いが話をして話を聞いてもらうことで、お互いが自然に変わっていくことです。それで自分が大きく変化しちゃって結果的に相手を好きじゃなくなる場合もあるから危険もはらんでいるけれど、やっぱり対話はしたほうがいい。そうじゃないとゲームというか、恋愛ごっこで終わってしまうから」

春美「思えばこの前の年下君とは、言葉のキャッチボールができていなかった。彼はたぶん、私の話をつまらないなと思っているだろうなっていうのが伝わってきたんです」

二村「それは彼が、自分を守ってるガンコな人だからですね。一方、春美さんは面白い話術がある魅力的な人だと思うんだけど……、恋愛の相手にとなると、けっこうガンコになっちゃうのかな」

春美「(笑)。そうなんです! 自分でもわかっているんですけれど」

二村「でも、それってしんどいし、自分が面倒くさくないですか。自分の何かを守るために人間はガンコになるんだけど、それにもそろそろ飽きてきませんか?

春美「えー。どうやったらガンコじゃなくなりますかね? 」

二村「あなたの心が柔らかくなれる男性とつきあえるといいですよねえ。自然と、素や弱みを見せられるような」

春美「それが難しいんですよ」

二村「嫌われちゃうって思うのかな。でも、そういう恋愛ができたら春美さん自身がもっと生きやすくなるんじゃないかな。つまり“恋愛ごっこ”じゃないことを一緒にできる相手と出会えるかどうか

春美「どうやって出会うんですか? ずっとまともな恋愛をしていないので、そういうアンテナが壊れちゃっているのかも(笑)。みんなが“あいつは、まともだ”っていう相手だと、いい会社に勤めているとか、いい旦那さんになりそうとかいうタイプで、つまらないんですよ」

二村「最初の彼がまともすぎたっていう信念が捨てられないのも、春美さんのガンコさですよね。それは思い出補正であって、彼にもまともじゃない部分はあったはずなんだけど。でも同時に、その彼と20代前半で結婚しちゃってたら今みたいな楽しい独身ライフがなかったし、こんなに充実してたかどうかわからないとも思ってるっておっしゃってましたよね」

春美「そうなんです 」

二村「お酒を飲んで人と話すのが好きなのはとてもいいことだし、コミュ力もある春美さんだから、40歳になっても50歳になっても必要であれば恋愛はできてると思いますよ」