“嫌みなデブになるのはやめよう”と決めたとき、すべてが回りだした

 そもそも長崎さんは、自分のことを「友達が多いタイプじゃない」と思っている。

「僕は友達と会社をつくりましたが、仲いいやつと形にしただけで、数が多いわけじゃない。むしろ僕は自己防衛反応ばかり働く、バリアー人間。初対面の人に対して、あまのじゃくな対応を取ってしまうことがあります。

 本当は仲よくなりたいと思っている人に対して、その人が僕にツッコんできてくれたときに、“自分の嫌な部分を出したくない”“嫌なことを言われたくない”という気持ちから、逆に突っぱねることを言ってしまうんです」

 興味を持ってくれた人に対して、そんな態度を取っていれば、仲よくなれるかもしれないものも、うまくいかないのではないか? そんな長崎さんが変わるきっかけになったのは、ある先輩の指摘だった。

「僕は見た目がぽっちゃりして、しゃべり方もわりとおおらか。それなのに、“話しかけてみたら突っぱねられたり、入ってくるな! みたいな雰囲気を出したりしているのは、マイナスギャップすぎる。イヤなB面すぎる!”って言われたんです。

 話しかけやすい雰囲気なのに、しゃべってみたら、はねのけられる。こんなマイナスギャップがあるやつに、仕事が増えるわけがない。嫌みなデブになるのはやめよう、と思いました

 それからの長崎さんは、自己防衛本能で自分を見せないのではなく、自分を小出しにさらけ出していく、という方法に切り変えた。

自分はこういう人間だ、と一気にさらけ出すと相手は引いてしまうけど、小出しならキャッチしてくれるもの。そして、相手に本気で興味を持ち、いっぱい質問するようにしたら、僕の話を聞いてくれるようになり、自分のことを知ってもらえるようになっていきました」

 また、当時の長崎さんは、自己防衛本能が過剰になっていたうえに、放送作家として評価されたいという“戦闘モード”も上乗せされ、ますます近寄りがたい雰囲気を発していたという。

「その先輩とテレビ局のエレベーターに乗っていたときに、“目がガン決まりになってる”と言われ、ふと鏡を見ると、鋭い目をしてにらみ付ける自分がいました。“こんなやつが面白いこと言えるわけない”と、自分を客観視できました。

 戦闘モードは僕の素の状態ではなかったし、友達といるときの自分のほうが、ベーシックな状態に近いことに気づいたので、仕事相手にもギアを落とした状態で接したほうがいいということに気づきました」

素顔は“嫌みなデブ”とはほど遠い、チャーミングで仕事がデキる長崎さん 撮影/fumufumu news編集部