目の前のことに没頭することで、他者と比較することがなくなった
2022年の後半から2023年1月まで、人生の中でもかなりバタバタしていたという長崎さん。特に年末年始に担当した『このテープもってないですか?』(BSテレ東)と、『あたらしいテレビ2023』(NHK)は、長崎さんにとって印象に残る仕事になったという。
そんな長崎さんの2023年の目標は「没頭」。実は2022年も同じ目標で、仕事を手広く広げていくよりは、集中して仕事に取り組みたいという考えにシフトしている。
「今、みんなが面白いものを作っているから目移りしがちなんですけど、“それが自分ができることなのか、自分のやりたいことか”というのは別の話。自分がやれることに集中したほうが、ストレスがなくなるんです。
誰かほかの人が面白いことをやっていても、イライラ、ハラハラ、ソワソワする夜がなくなって、“へー”と、言えるようになりました。昔だったら“くそー”って思っていたんですけどね」
また、海外で仕事をしてみたいという気持ちもあるという。コロナで海外への往来が難しくなった一方、どこにいてもリモートワークで仕事がしやすくなった。それは、コロナによって選択の幅が広がったとも捉えられる。
「僕はあまり英語が話せないし、やみくもに海外に行きたいわけじゃない。海外の考え方やモノの作り方、企画の考え方を勉強して、いろいろ取り入れていきたいと思っています。
日本にいようが、海外にいようが僕は僕だから、“日本人で放送作家をやっている僕が、海外で挑戦できることだけやれたらいいな”と思っています」
長崎さんは幼いころ、『周成』という自分の名前がイヤだったという。両親が「周りの人」を「成り立たせられるように」という願いを込めてつけてくれた名前だが、自分ではなく他人をサポートする人生を決めつけられていたような気がしたからだ。
しかし、放送作家になった今、『周成』という名前が仕事に通ずる部分もあり、好きになったという。
「僕だけの意味を込めてくれ、ありがたい名前をいただけて感謝しています。これからも“周りを成り立たせる人生”を楽しんでいきたいと思っています」
(取材・文/吉川明子、編集/本間美帆)
【PROFILE】
長崎周成(ながさき・しゅうせい) 1991年生まれ。放送作家。株式会社チャビーCEO。芸人、テレビ制作会社勤務を経て、現職。地上波テレビ番組の企画構成を担当しつつ、2018年にYouTubeチャンネル『フワちゃん TV』/『フワちゃん FLIX』をフワちゃんとともに開設。2019年に20代放送作家を中心とした企画会社チャビーを設立。お笑い・バラエティを中心に、『ZIP!』(日本テレビ系)『週刊さんまとマツコ』(TBS系)『ドラえもん』(テレビ朝日系)など、さまざまなメディアを横断して企画。Twitter→@shuuuuuusei