髪はもともと白髪として誕生する

意外と知られていない事実だと思いますが、そもそもすべての髪は白髪として生えてきます。“白髪=老化”と思いがちですが、生えてきたその瞬間の髪は誰でも、たとえ生まれたての赤ちゃんであっても、白髪なんです」(辻さん)

 私たちの髪は、メラニンという褐色の色素が誕生したばかりの白い毛を染めることで黒くなる。この白い毛を染める細胞をメラノサイトというが、このメカニズムは、赤ちゃんから私たち白髪に悩む世代までまったく同じ。だが私たちの場合、さまざまな要因でメラノサイトの働きが鈍くなっているがゆえに、髪は白いままになり、いわゆる「白髪」に悩むことになるわけだ。

 メラノサイトが働かなくなる要因はいろいろあるが、ひとつには遺伝的要素であると辻さん。

「白髪になりやすい家系というのは確かにあるように思います。おじいさんやおばあさん、両親に白髪が多い人は、白髪になりやすい傾向にあります」(辻さん)

 遺伝的要素以外にも、しばしば「髪が太くて剛毛」「クセがある」「茶髪より真っ黒な髪」が白髪になりやすいといわれたりするが、これは間違いであるそう。

白髪になりやすい家系の人は、髪がやわらかい人でも白髪になります。白髪になりやすい・なりにくいに、毛質はあまり関係ありません」(辻さん)

 ちなみに、「白髪の人は薄毛になりにくい」という俗説もあるが、これも間違いで、白髪を抜くのも間違い。ひとつの毛穴から生えてくる髪は1本ではない。白髪を抜くことでともに生えているほかの髪にもストレスを与えることになり、白髪を増やす原因となるからだ。白髪を見つけたら、根本からカットしよう。

 とはいえ、もしも白髪が遺伝だけでできるものならば、家族はみな、ほぼ同じ年齢で白髪になるはず。白髪ができるのはだいたい35歳ぐらいからといわれてはいるものの、10代から目立ち始める人がいたり、両親は若いころから白髪頭だったが自分は40歳を過ぎてからなど、白髪が現れ始める年齢には幅がある。こうした差はいったいどうして生まれるのだろうか?

その原因こそが、生活習慣の善し悪し。食生活の乱れや運動不足など生活習慣の乱れが、白髪ができる年齢を左右しているのです」(辻さん)