新喜劇の劇場には「笑いの神様が住んでいる」

すっちー ただね、僕は漫才を11年やってたんですけど、そのキャリアはいったん忘れんといかんのです。しばらくたって慣れてきたら、ようやく漫才の経験が生かせるようになる。同じお笑いでも、新喜劇は別物なんだなと思いましたね。コンビでもピンでも、通常のお笑いだと、早く笑いが欲しくなるんです。出ていってすぐ、まず笑いをとってから、話が流れていく。でも、新喜劇でそれをやったらダメなんですわ。

寛平 新喜劇のホン(台本)って独特なんです。45分の中でひとつの話が展開していくんやけど、単純な喜劇とも言い切れない部分があって。

すっちー 例えば、うどん屋の設定があって、その娘が結婚したいと相手を連れてくるけれど、親は大反対。でも、「こんな男あかん」と言っていると45分じゃ終わらない(笑)。そこへチンピラがやってきてさんざん笑わせたあげく、娘にちょっかいを出し、彼氏が身体を張って助ける。すると、そこにドラマが生まれる。チンピラは、ただボケるために来るわけではないんです。笑いだけではなくて、人間のいろんな感情をいろんな人が見せるから、ふっと客席を見ると泣いている人もいたりする。(新喜劇は)誰にとっても感情移入しやすいんやろなと思います。

なんだかファッション誌のスナップショットみたいなオシャレさを醸し出すすっちーさん 
撮影/齋藤周造

寛平 64年続いているということは、もうすでに新喜劇は“文化”なんやろなと思います。ときどき、この64年でのべ何十億人の人を笑わしてきたのかなと考えることもあります。せやから僕は、劇場には笑いの神様が住んでいると思ってる。一生懸命やってたら、神様が降りてきてくれる。手抜きしたら、スベる。不思議やなと思います。僕んときは、「今日は神様いてくれへんな〜」ということが多いですけど(笑)。

すっちー 劇場の一体感ってありますね。舞台だけじゃなくて、ものすごくいいタイミングで客席の赤ちゃんが泣いたり、子どもが放ったひと言で、客席と舞台が急に近くなったり。ミラクルみたいなことが起こるんですよ。それがライブの面白さでしょうね。850席ほどのキャパなので、大きさもちょうどいいと思うんです。

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 息ピッタリでインタビューに答えてくれた、寛平さんとすっちーさん。「新喜劇は“文化”」という言葉も、長年にわたってこの舞台から笑いを届けてきた寛平師匠が発すると、非常に重みを感じられる。インタビュー第2弾では、20代から80代まで幅広い年齢層が属している新喜劇ならではの特徴や、おふたりが大切にしていることについて話を伺った。

最後に貴重な眼鏡なしバージョンも特別にお届け! 撮影/齋藤周造

(取材・文/亀山早苗)


【PRIFILE】
間寛平(はざま・かんぺい) ◎1949年7月20日生まれ、高知県出身。'70年に吉本新喜劇入団。'74年、座長就任。「ア~メマ~」「アヘアヘ」「かい~の」などのギャグで人気爆発。'89年に退団し、東京進出。'11年1月に地球1周「アースマラソン」を完走。'16年には若手芸人育成を目的として『劇団間座』を立ち上げた。'22年には吉本新喜劇のGMに就任し、今なお現役でお笑い界を盛り上げている。

すっちー ◎1972年1月26日、大阪府出身。お笑いコンビ『ビッキーズ』として活動し、'07年より吉本新喜劇所属。すち子のキャラクターで人気を博す。'13年には松浦真也とのユニット・すち子&真也で「歌ネタ王決定戦2013」優勝。'14年には吉本新喜劇の座長に就任した。吉田裕とのコンビ芸「ドリルすんのかいせんのかい(乳首ドリル)」も人気。

「吉本新喜劇記念日2023」開催!
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日時:2023年3月21日(火祝)@なんばグランド花月(※配信あり)
開場:18時45分 開演:19時15分
料金:オンライン2000円(※好評につき劇場チケットは完売、オンラインチケット発売中!)
出演:間寛平/川畑泰史/すっちー/酒井藍/池乃めだか/内場勝則/辻本茂雄/吉田裕 ほか
チケットに関するお問い合わせ:0570-550-100
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