日本のアプリゲームが生き残るためにすべきは「IPの理解」

──家庭用ゲームのように再び息を吹き返すために、アプリゲームは何をすべきだと思いますか?

「たくさんあるので難しいですが、重要なのは“IPの理解”(※)でしょうか

 やはりIPを活用したアプリゲームは圧倒的に生存率が高いです。大半のオリジナルコンテンツは誰にも知られることなく終了してしまいますが、IPはもともとの知名度があるだけに一定数のユーザーが入ってくるので残りやすい。2010年代前半は著作権料が高いという理由でオリジナルをつくっている会社がほとんどでしたが、2010年代後半にIPタイトルだけが残っていったことで、業界もユーザーも“ありがたい!” “IPすごい!”という認識に変わっていきました」

※IP:Intellectual Property(知的財産)の頭文字をとった用語。ゲーム業界では主に、アニメ、マンガ、それらに登場するキャラクターなどの著作権を指すことが一般的。

──日本はマンガやアニメの文化が浸透しているので、IPを活用することは特に重要ですね。

「そうなんです。ただし、IPの中でもアプリゲームに適した作品と適していない作品があるため、何でもアプリゲームにするのではなく、まずそれを見極めることが重要です。

 また、IPの世界観を正確に再現できているか、キャラクターが愛されるコンテンツになっているか、原作者や制作陣の背景・意図・苦労も理解したうえでアプリゲームに落とし込めるかどうか。真摯(しんし)な気持ちで“このコンテンツをプレイしたら、より作品を好きになってもらえます”という付加価値をつけることが成功のカギだと思います。

 最近は『原神』(mihoyo)、『勝利の女神:NIKKE』(テンセント)、『アークナイツ』(Yostar)と中国の会社が勢いをつけていますが、日本はIPファンとゲーム内容をすり合わせる技術に優れている。正しいIP・正しい設計・正しい開発会社に依頼すれば、成功確率は7割くらいにはなるかなと」

中国・mihoyoからリリースされた『原神』2022年にはスマホ版の総売り上げが、世界3916億円を突破した ※画像は公式サイトより