舞台は、お客様と俳優が想像して作る世界なのが魅力

──石橋さんにとって、舞台の魅力は何だと思いますか?

“実際にはないもの”を想像して作れることです。お客様も演じる側も想像することで、 “実際にはないもの”がそこに現れるというのが舞台の魅力であり、だからこそ大切な場所だと感じています」

──原作となるアニメが人気の作品だけに、プレッシャーもあると思うのですが、心境はいかがですか?

「これを観て育ってこなくてよかった、と思っています。今アニメを観て勉強している最中なのですが、もし観ていたら“やります”と言っていなかったかもしれません……。

 神髄に深いものがある作品だと感じていて、原作となるアニメに敬意を払いつつも、舞台という新しい形でオリジナルの作品を作ることに恐れずにいたいです

 素晴らしい方たちが集まっているので、どんどん果敢に挑戦して、アニメとは違った魅力を持つ作品として、みなさんに楽しんでいただけるように頑張ります」

石橋静河さん 撮影/松島豊

──4歳からバレエを学び、15歳からはバレエ留学をされ、コンテンポラリーダンサーとして活動されていましたが、ダンスをやっていたことで、芝居に役立っていることはありますか?

「最近になって、踊りをやってきた時間が財産となって、自分を助けてくれている感じがしています。それが何なのかというと具体的にはわからないのですが、バレエはずっと毎日、何時間も訓練するのが大事なので、忍耐力が身についていたり……。

 バレエによって“何が美しいとされているのか”を自分に叩きこんできたところがあるので、そういう何かひとつ“自分の軸となる感覚”があるのは、やっていてよかったなと思います

──石橋さんは演じる際、「その役がどんな動きをするのか」が気になるのだとか?

「演じるときには、そこから入ることもあります。この人は、猫背であるとか、“その人の動きの質”というのを想像したりします。また、“こうしたいと思う形に身体で表現する”ことは、演じる面白さでもあります」

◇  ◇  ◇

“思ったとおりに身体で表現できること”、“(それだけの)自己をコントロールする力があること”は、俳優としての武器になるし、幼いころから真剣にダンスをやってきたことの賜物(たまもの)でしょうね。そんな石橋さんに、「演じるうえで大切にしていること」「俳優の仕事の魅力」についても聞いてみました。