尚玄さんにとって沖縄とは? 沖縄作品への出演にも意欲

──続いて故郷・沖縄について。沖縄県内で'22年11月に公開した映画『10ROOMS』(テンルームス/岸本司監督)は、現在もロングラン上映中で好評です。地元キャストと尚玄さんや加藤雅也さんが共演し、沖縄市に実在する「トリップショットホテルズ・コザ」の客室を舞台に展開。実は今、インタビュールームとしてステキなお部屋をお借りしています。沖縄発のエンタメ色豊かなオムニバス作品、見どころを教えてください。

「岸本司監督のデビュー作、『アコークロー』('06年製作)から何本も出演しているので、長い付き合いです。今までは楽観的な男を演じることが多かったですが、『10ROOMS』は世間に不満を持ち、裏の顔がある男。深いメッセージがセリフに込められていて新鮮でした。群像劇を繰り広げる登場人物たちが交差していくところ、コメディーありシリアスさもあり、いろいろな味わいがあるところなど、見どころたっぷりの作品です。スタイリッシュな映像にも注目してください。ロケ地になった沖縄市(旧コザ市)の『トリップショットホテルズ・コザ』の客室は、そのまま映画のセットになる広くておしゃれな空間。那覇とは違う雰囲気の街なので、宿泊してコザの夜を楽しんでほしいです

──岸本司監督作品はじめ多くの沖縄映画に出演し、母校や地元とのかかわりも大切にされていますね。尚玄さんにとって沖縄とは!? 最後に聞かせてください。

僕のホームでありルーツ。帰ってくる場所は、僕には沖縄しかありません。世界を舞台に仕事をしたい気持ちのまま、沖縄を世界に広めていきたい思いも強く持っています。岸本司監督の沖縄を舞台にした作品にはお声がけいただく機会が多いですが、今後もさまざまな沖縄作品に参加していきたいです。沖縄は美しい自然や人々の魅力など、世界中に紹介したいステキなシーンが数多くあります。一方で、さまざまな社会問題も抱えています。映画を通して多くの人に“ありのままの沖縄”が伝えられるよう、努力していきたいです

さらなるご活躍、心から応援しています!/映画『10ROOMS』より(C) Fanfare Japan

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 優しい声でゆっくりと、言葉を選びながら素直な思いを届けてくれる尚玄さん。国際的な視野で海外のエッセンスを取り入れ、コミュニケーションを大切にしながら、自身が理想とする俳優の姿へと近づいていくのでしょう。今後の作品選びや活躍、そして訪問国は増えたのかなど、次にお会いして伺う機会が楽しみです。

(取材・文/饒波貴子、撮影/小橋川恵里奈、撮影協力/トリップショットホテルズ・コザ)


【PROFILE】
尚玄(しょうげん) ◎1978年生まれ、沖縄県出身。大学卒業後、バックパックで世界中を旅しながらヨーロッパでモデルとして活動。2005年戦後の沖縄を描いた映画『ハブと拳骨』でデビュー。2008年ニューヨークで出逢ったリアリズム演技に感銘を受け、本格的に芝居を学ぶことを決意し渡米。現在は日本を拠点に邦画だけでなく海外の作品にも多数出演している。2021年主演・プロデュースを務めた映画『義足のボクサー』が釜山国際映画祭にてキム・ジソク賞を受賞。2022年同映画祭でAsia Star Awardを受賞。

◎映画『赦し』(2022年/日本)

監督・編集:アンシュル・チョウハン
出演:尚玄、MEGUMI、松浦りょう、生津徹、成海花音、藤森慎吾、真矢ミキ

製作プロダクション:KOWATANDA FILMS、YAMAN FILMS/配給:彩プロ

公式サイト https://yurushi-movie.com
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=gCXHTUFct3A


◎映画『10ROOMS』(2022年/日本)

監督・脚本:岸本司
出演:尚玄、ひがりゅうた、宮城夏鈴、中村映里子、加藤雅也ほか
制作・著作 ファンファーレ・ジャパン

・公式サイト https://10rooms-movie.com
・予告編 https://youtu.be/1huYHpagU00
・トリップショットホテルズ・コザ https://koza.tripshot-hotels.com